モハメド・ベン・スレイエムFIA会長、2022年1月15日(土)にオーストリア・ザルツブルクのハンガー7にて行われたWRCのローンチイベントにて
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ハミルトン「人種的」とベン・スレイエムFIA会長を批判、罵り言葉の規制を巡りラップ音楽を引き合いに

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罵り言葉を含む無線内容の規制に関して発言した際に「人種的な要素」が含まれていたとして、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長を批判した。

ベン・スレイエムはシンガポールGPの開幕に先立ち公開された英AUTOSPORTとのインタビューで、「モータースポーツとラップミュージックを区別すべきだ。我々はラッパーではない。彼らは1分間に何度、Fワードを口にするんだ? 」と語り、F1の中継で「ピー音」を伴って放送される頻繁な罵り言葉に不快感を示した。

「想像してみてほしい。子供と一緒に座ってレースを見ている時に、誰かが汚い言葉を口にした場合、あなたの子供や孫は何と言うだろうか」

また、ドライバーにも自身の発言に配慮する一定の責任があると語った。

さらに、「我々は、無線での会話をもっと多く放送することを認めた当事者の一人だ。だがルールがある。それはF1の利益のためのもので、守られるべきものだ」とも語り、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)に対し、罵り言葉の放送を制限するよう求める方針であり、また既にそうしていると説明した。

英The-Raceによるとハミルトンは、中継で流れる無線内容を規制することには賛成の立場を示したが、ベン・スレイエムがラッパーを引き合いに出したことに不快感を示した。

「22歳の頃はあまり深く考えていなかったし、感情が爆発して、その場で思ったことを口にしてしまうことが多かった。どれだけ多くの人や子供たちが聞いているかを忘れてしまうんだ」とハミルトンは語った。

「だから、そういう意味では賛成だ。まだその感覚を掴んでいないドライバーもいるけど、いつか気づくだろうし、ペナルティがあればみんな、やめるはずだ。それが必要かどうかはわからないけど、あまりにもそういう発言が多いのは確かだ」

「ただ、彼の言い方には納得がいかない。ラッパーというのはかなりステレオタイプ的だ。考えてみれば、ほとんどのラッパーは黒人だ。つまり彼は、『俺たちは彼らとは違う』と言っているように聞こえる」

「それは言葉の選び方として間違っていると思う。そこには人種的な要素がある」

「言ったように、解決しようとすることには賛成だけど、感情が溢れるのは悪いことじゃない。僕らはロボットじゃないんだ」

「僕が感情をコントロールしているのは、2,000人以上の人々(メルセデスの従業員)が僕のために働いてくれているからだ。今のこの立場があるのは彼らのおかげだ」

「僕のフォロワーには色んな年齢層の人々がいる。これは僕だけの問題じゃない。コース上で僕が何を体験しようが、僕がすることや言うことはすべての人々に影響を与える」

「家族との時間を犠牲にして、僕にこの特権的な立場やチャンスを与えるために全力を尽くしてくれている人たちがいる。だから、そのことを心に留めて、攻撃的な感情を他の場所に向けるよう心がけているんだ」

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