合同テストで分かった5つのコト – 気短なあなたのための2017年F1予測
カタロニア・サーキットで4日間に渡り開かれた2017年第一回目のプレシーズンテスト。「テストだからまだ今年の戦況を予想するには早すぎ」というのはグゥの音も出ない正論であるが、ヒトが不確かな未来を想像したがる動物であることもまた正論。気の短いあなたのために、プレシーズンテスト1から見えてきた5つの事実を紹介しよう。
1,メルセデスはやっぱり強い
チーム最多周回数となる558周2,600kmあまりを4日間で走り込み、昨年のテストでフェラーリのベッテルが記録した最速タイム1:22.810をより3秒105も上回ったメルセデス。フルレースシミュレーションも何度かこなし、既に戦闘可能状態である。また、ハミルトンは新しいチームメイトであるバルテリ・ボッタスとの関係を「今まで以上により良い仕事関係がすでに築けてる」とコメント。2017年もメルセデスが強いのは間違いない。
2,メルセデスの対抗馬はフェラーリ
©F1
昨年はパフォーマンス面でもランキングでもレッドブルの後塵を喫したフェラーリだが、彼らの新しいマシンSF70Hは抜群の信頼性を備えているようにみえる。テスト中最も走行距離を稼いだのはフェラーリ製パワーユニットでありメルセデスのそれを10%上回った。最速タイムでも、ウルトラソフトを履いたボッタスの1:19.705から遅れることコンマ247秒落ち。しかもそのタイムを出したセバスチャン・ベッテルが履いていたのはウルトラソフトよりも硬いソフトタイヤであった。
「1年前に比べて良いスタートだよ。マシンの感触はいいし、問題も起きていないし、不満を言うところがないよ」とキミ・ライコネンは語る。
3,爪を隠すレッドブル
周回数はメルセデスの6割ほど、最速タイムもトップから遅れること1秒448。タイムテーブル上では全く目立ったところがない去年ランキング2位のレッドブル。今までよりも空力面の重要性が相対的に高まるとされる2017年レギュレーションを考えれば、天才エイドリアン・ニューウェイが手がけたRB13が遅いはずがないと思うのは決して愚かな話じゃない。
「思い描いていたマシンができた」「後々新しいパーツが追加されるけど、最初の段階ではシンプルに保つようにしている」ニューウェイはテスト初日終了後のインタビューでこのようにコメント。また、マックス・フェルスタッペンは「シーズン序盤はメルセデスにアドバンテージがあるかもだけど、僕らは追いつくよ。メルボルンに着くまでにマシンが大きく変わるのは間違いないよ」と語る。
能ある鷹はなんとやら。目立たつ所なくテスト1を終えたからと言って、赤牛軍団が速くないと決めつけるのは懸命ではないだろう。何しろあの天才が”思い描いていたマシンができた”なんて言うのだから。
4,攻めの姿勢のマクラーレン・ホンダ
©F1
初日、二日目をパワーユニットのトラブルで棒に振ったマクラーレン・ホンダ。そのパワーユニットは昨年型と比較して9割以上が新設計と言われている。色々言われてもいるが敢えて言おう、これは攻めの姿勢の現れ意外の何物でもないと。昨年型メルセデスPUと同程度の出力はほぼ間違いないと。
ホンダのF1責任者である長谷川祐介は「オイルタンクの問題についてはすでに解決策を見つけた」「目的は(パフォーマンステストではなく)パワーユニットの耐久テスト」であると明言、始めの2日間を除けば3日目には72周、4日目には67周を走りきっており、決して充分とは言えないまでも、そう悪くもない。
5,ピレリは速くそしてタレない
ブリジストンを引き合いに出され散々な攻撃にされされ続けてきたピレリが、面目躍如を果たした。ピレリのレーシングマネージャーを務めるマリオ・イゾラは新開発のタイヤの目標について「2015年のバルセロナテストと比べて5秒早いラップタイムを引き出すこと」だったとし、その目標は達成されたと語った。
加えて今年のピレリタイヤはデグラデーションも悪くない。昨年は1周あたりコンマ25秒程のデグラデーションであったのに対し、2017年型のタイヤは1周あたりコンマ08秒程と、実に昨年の4倍程度の耐久性を誇る様になっている。