まさに快進撃のRB…再編を経て7戦目にして早くも「中長期目標」に到達、一方でライバルの熾烈な反撃を覚悟
角田裕毅とダニエル・リカルド擁するRBフォーミュラ1チームは、2024年シーズンの第7戦を終えて早くも「中長期な目標」に達する「予想外」の快進撃を続けている。
チームが掲げるコンストラクター選手権6位という目標は2006年の創設以来、ファエンツァのチームがこれまでに3度しか達成した事のない高き頂きだ。
特にアルファタウリ時代ワーストの25ポイントに留まり、ランキング8位に甘んじた2023年シーズンを踏まえれば、尚更に野心的な目標と言える。
にも関わらず、開幕2戦こそノーポイントに終わったものの、角田裕毅は以降の5戦でスプリントを含めて5回のポイントフィニッシュを重ね、リカルドもまた、マイアミのスプリントで4位入賞を飾るなど、RBは第7戦エミリア・ロマーニャGPを終えてRBは計20ポイントのランキング6位につけている。
これは2024年に向けてリブランドされたばかりのRBにとって想定外の事態だという。
F1公式サイトによるとRBのピーター・バイエルCEOは、「中団トップは中長期的な目標だったが、7戦を終えて我々はそこに到達した。これはシーズン当初の目標にはなかった事で、我々の計画を上回るものだ」と語った。
無論、7戦目にしてターゲットにつけているのは前向きだが、詰まるところ、求められているのは最終戦のアブダビを終えての順位であり、100分の数秒差で予選順位が大きく入れ替わる今季のミッドフィールドのタイトさを考えれば、これを守り抜くのは決して楽な話ではない。
「シーズンを通じてこの位置を維持するのが大変な事は完全に自覚している」とバイエルは認める。
「我々は6番手につけているが、7番手から10番手までのチームに対して特にペース面で優位性があるわけではない。ただ、クルマの開発を慎重に進め、週末毎にシャープに対応し、取れるポイントは全て獲得する事ができたと思う」
今のところVCARB 01の開発は順調だ。チームはイモラで予定していたアップグレードをマイアミに前倒し投入した。これを実現するために舞台裏では「とてつもない努力」があったとベイヤーは明かすが、ライバルも手をこまねいているわけではない。
「我々はマイアミに2セットのフロアを持ち込んだ。スペアはなかった。最大のリスクを冒したが上手くいった。ペースのオフセットを得て、ポイントを持ち帰る事ができた」とバイエルは振り返る。
「サウバー、ウィリアムズ、ハースもアップデートによる反撃を予定しているだろう。我々が取り組んでいるゲームはここにある。6番手にいることを当然とは思っていない。厳しい戦いになるだろう」
ローラン・メキーズ代表もバイエルに同意する。2003年にファエンツァのチームでF1キャリアをスタートさせた20年の経験を持つフランス人エンジニアは「クルマの開発速度を加速させ続けることを目指しているが、これはこのビジネスの最も難しい部分だ」と語る。
「今後のシーズンの幾つかの段階で我々はもっと苦しむ事になるかもしれない。ただ、別の段階では再びパフォーマンスを見つけることができるかもしれない」
「我々は自分達の計画に先行してはいるが、ライバルがアップデートにより反撃してくる事が予想されるため、おそらく次の2・3レースでは苦戦することになるだろう」
「その後、我々は短期的な利益を求めるだけでなく、あらゆる面を推し進めていく事になる。目の前の数レースで何をするのかという事だけでなく、同時に未来への飛躍も試みていく」
昨シーズン途中でのバイエルのCEO就任に続き、今シーズン初めにはフェラーリでのガーデニング休暇を終えたメキーズがチーム代表に着任。アルピーヌからはスポーティング・ディレクターとしてアラン・パーメインが、レッドブルからは副テクニカルディレクターとしてギヨーム・カテラーニが新たに加わった。
そして10月には国際自動車連盟(FIA)のシングルシーター部門テクニカルディレクターを務めていたティム・ゴスが最高技術責任者(CTO)としてチームに合流する予定であり、チーム名称のみならず人材面でも大幅な変更が加えられている。
「アランはチームに溶け込んでおり、すでに大きな影響を与えている」と述べ、メキーズは現場でのポジティブな変化を強調する。
「彼はフェラーリやアルピーヌ、レッドブル、メルセデスで行われていたことを繰り返すのではなく、次の最善の方法を共に見出そうという明確な目標を以て、かなりのオープンマインドでチームにやってきた」
「我々には素晴らしい才能の基盤がある。マニュファクチャラーを含むライバルを打ち負かし、本気でミッドフィールドのトップを目指すためには、チームを360度強化する必要があるが、そう言うだけでは不十分だ」
「従業員により良い条件で働いてもらい、必要な場所にスキルや経験を注入することも大切だ。我々は現在、ギャップ分析を行い、現在地と目標地点を比較している最中だ」