縁石を乗り越えサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)を周回するセルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング)、2023年10月22日(日) F1アメリカGP決勝レース
Courtesy Of Red Bull Content Pool

FIA、トラックリミット監視不備疑惑…F1アメリカGPで複数違反見逃しか

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国際自動車連盟(FIA)がF1アメリカGPの決勝レースでトラックリミットを十分に監視できていなかった疑いが浮上した。独「AMuS」はセルジオ・ペレス(レッドブル)がターン6で幾度にも渡って白線を越えたと報じた。

走路外走行が疑われる「1,200件以上」もの報告が上がった今年7月のオーストリアGPを経てFIAは、フランス・ジュネーブのリモートオペレーションセンター(ROC)に配置するスタッフの数を2倍に増員すると共に、新しいソフトウェアを導入して監視体制を強化した。

今月初旬のカタールGPでは予選で22件、シュートアウトで31件、スプリントで23件、そしてグランプリで51件、合計127件の走路外走行が記録されたが、調査から決定に至るまで大幅な遅延はなく、FIAは個々のケースを迅速に処理した。

続くアメリカGPではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が予選Q3で白線を越えたためにポールポジションを逃した事が話題となり、決勝レースではターン1、6、9、11、12、13、19、20の計8箇所で違反が発生した。FIAの発表によるとペレスのトラックリミットは1回のみだった。

2023年F1アメリカGP決勝ドライバー別トラックリミット
ドライバー 違反件数
アレックス・アルボン 6
シャルル・ルクレール 4
ケビン・マグヌッセン 4
ローガン・サージェント 3
ルイス・ハミルトン 3
角田裕毅 2
フェルナンド・アロンソ 2
ニコ・ヒュルケンベルグ 2
ジョージ・ラッセル 2
ランド・ノリス 2
セルジオ・ペレス 1
ピエール・ガスリー 1
エステバン・オコン 1
カルロス・サインツ 1
ランス・ストロール 1

しかしながらAMuSは検証を経て、ペレスが複数回に渡って走路外走行を繰り返していたと指摘した。FIAもレース後の分析を経て「ターン6のイン側で複数名のドライバーがトラックリミットを越えた可能性に留意している」と認めた。

以下のコースレイアウトで明らかなように、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)のターン6イン側をカットすれば、当然にタイムゲインが見込まれる。

F1アメリカGPの舞台、サーキット・オブ・ジ・アメリカズのコースレイアウト図copyright Formula1 Data

F1アメリカGPの舞台、サーキット・オブ・ジ・アメリカズのコースレイアウト図

一体なぜ、このような事態が起きてしまったのだろうか? 実はペレスと同じ様にタイムペナルティを逃れた可能性があるドライバーが少なくとも、もう1名いた。

アレックス・アルボン(ウィリアムズ)はレース中に4回のトラックリミット違反を犯して5秒ペナルティを受けたが、実際には6回の違反が記録されている。

一件は調査の対象となったが、スチュワードは「手元にある証拠では、違反が発生したと正確かつ一貫して結論づけるには不十分である」としてお咎めなしの裁定を下した。

スチュワードが本調査に用いた証拠は「入手可能な映像証拠」のみだった。コースに設置された「CCTVカメラは含まず」とわざわざ注記が入れられた。

報道によると問題となったターン6にはCCTVカメラは設置されていた。つまり、通信障害か、またはカメラの設置地点あるいは角度か、何らかの理由により裁定に際して映像が役に立たなかったとものと考えられるが、以下のFIAの説明からも推察されるように、恐らくは後者が原因だ。

「FIAは今後に向けて監視インフラをアップデートし、レース中に発生した潜在的な違反を確実に特定できるよう、カバー範囲を強化する予定だ」

今年7月のカナダGPの1回目のフリー走行では、開始4分を過ぎたところで赤旗が振られ、再開されずにそのまま終了という異例の展開となった。コースに設置されたCCTVカメラが作動していなかった事が原因だった。

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