フェルスタッペン、無力感に支配され思わず出た悲憤の叫び…連勝記録ストップ必至か。登壇全面除外
「君が見たかどうか分からないけど、マジでショックだ。全く以てショッキングな経験だ!」
姉妹チームの新人リアム・ローソン(アルファタウリ)に1000分の7秒差で蹴落とされ、11番手でQ2敗退を喫したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、無線を通してレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼにそう叫んだ。
前人未到の11連勝が懸かるF1第16戦シンガポールGP。予選はフェルスタッペンにとって悪夢の結末を迎えた。Q3進出を逃したのは、ドライブシャフトが破損した3月のサウジアラビアGP以来だった。
だが今回はトラブルによってノックアウトしたわけではない。単にペース不足、実力を現した結果だった。チームメイトのセルジオ・ペレスも13番手と、今季全勝を誇るレッドブルはマリーナベイ市街地コースでダブルQ2敗退に終わった。
週末に入る以前の段階からフェルスタッペンはシンガポールでの苦戦を予想していた。2週間前のモンツァで史上最多10連勝記録を達成した後でさえ、悲観的だった。
金曜のフリー走行の段階から予兆はあった。フェルスタッペン曰く「それほど悪くなかった」という4番手タイムをマークした直前のFP3でさえ、RB19はリアエンドの安定性に欠けていた。そのためチームは予選までの2時間半の間にセットアップ変更に奔走したが、これが完全に裏目に出た。
「予選に向けて車に幾つかの変更を加えてみたんだけど、それによってまた、クルマがドライブできない状況になってしまった」とフェルスタッペンは語る。
「ブレーキングゾーンではフロアが大きく底を打って、深くブレーキをかけたいと思う度、前輪に荷重がかからなかった」
「無線で言ったように、兎に角、衝撃的な経験だった。だって低速でクルマを傾けようとしてもスピードもトラクションもないんだからね。ドライブするのが兎に角、酷く難しかった」
「ストリートサーキットでは自信を持ってブレーキを踏み、コーナーを攻めることが決定的に重要なのに、それができなかったんだ」
早々に予選を終える事となったフェルスタッペンはガレージでレッドブルを飲みながら、トロ・ロッソ時代の僚友カルロス・サインツ(フェラーリ)がジョージ・ラッセル(メルセデス)を抑えて2戦連続のポールポジションを獲得する様を眺める他になかった。
フェルスタッペンは自身の連勝記録、そしてレッドブルによるシーズン全勝という壮大な野望が既に潰えたと考えている。
確かに以前も後方スタートを強いられた事があった。マイアミGPでは9番手から、ベルギーGPでは6番手からスタートしながらも勝利を収めた。だがシンガポールは、これらのサーキットとは全くの別物だ。
昨年大会のオーバーテイクは僅かに9回。DRSを使ったものを含めても11回に過ぎない。表彰台への巻き返しの可能性についてフェルスタッペンは、強力なレースペースはここでは殆ど意味を持たないとして「絶対にない」と断言した。
「如何に良いレースカーがあったとしても、モナコと同じ様に、ここではそんなに重要なことじゃない。予選が全てなんだ」
「例えデグラデーションがあったとしても、ここで追い抜くのは難しい。タイヤの摩耗レベルがそれほど高くないからね」
2023年F1シンガポールGP予選ではレッドブルがダブルQ2敗退を喫し、カルロス・サインツ(フェラーリ)が2戦連続のポールポジションを獲得する結果となった。
決勝レースは日本時間9月17日(日)21時にフォーメーションラップが開始され、1周4,940mのマリーナベイ市街地コースを62周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。