夜のマリーナベイ市街地コースを駆け抜けるカルロス・サインツ(フェラーリ)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年9月15日F1シンガポールGP
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レッドブル崩壊の衝撃…サインツ連続PP!角田 Q3射程も無計測。審議多発で混沌 / F1シンガポールGP《予選》結果とダイジェスト

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2023年シーズンのFIA-F1世界選手権16戦シンガポールGP予選が9月16日(土)にマリーナベイ市街地コースで行われ、カルロス・サインツ(フェラーリ)が2戦連続のポールポジションを獲得した。角田裕毅(アルファタウリ)はQ3を射程に捉えながらもQ2で姿を消した。

全プラクティスを制したSF-23のパフォーマンスはグリッド争いに入っても衰えず、僚友シャルル・ルクレールと共にフロントロウを独占するかに思われたが、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が2台に割って入る2番手をマークした。トップ3のギャップは僅か0.079秒という大接戦だった。90秒サーキットである事を踏まえると驚異的だ。

予選Q2敗退を喫してピットレーンでクルマを降りるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2023年9月16日(土) F1シンガポールGP(マリーナベイ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

予選Q2敗退を喫してピットレーンでクルマを降りるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2023年9月16日(土) F1シンガポールGP(マリーナベイ市街地コース)

Q2では衝撃の光景が広がった。11連勝を目指すマックス・フェルスタッペンは11番手でノックアウトを喫し、セルジオ・ペレスも13番手と、今季全勝を誇るレッドブルRB19の2台はトップ10にすら入れなかった。何かが起こらぬ限り連勝記録は途絶え、シンガポールでのチームタイトルは望めそうにない。

角田裕毅はQ1をトップタイムで通過し、Q3進出に向けて最高のスタートを切ったものの、Q2ではフェルスタッペンの妨害によって1回目の計測中止を余儀なくされ、最終アタックではセクター3でアクセルを緩める事となり、ノータイム15番手と失望の結果に終わった。

Q1の自己ベスト、1分31秒911が刻めれば6番手でQ3進出を果たせたはずだった。

一方でチームメイトのリアム・ローソンはフェルスタッペンを1000分の7秒差で蹴落としてQ3進出を果たし、堂々の10番グリッドを持ち帰った。

ポール争いには絡めなかったものの、ランド・ノリス(マクラーレン)は後続にコンマ2秒以上の大差をつけて4番手を記録した。チームメイトのラッセルからコンマ5秒遅れの5番手にはルイス・ハミルトンが並んだ。

ハースは唯一、アップグレードを持ち込んでいないチームだが、ケビン・マグヌッセンは6番手、ニコ・ヒュルケンベルグも9番手と、ダブルQ3進出を果たした。

ハースの間に割って入ったのはアストンマーチンとアルピーヌだった。フェルナンド・アロンソは7番手、エステバン・オコンは8番手をマークした。

角田裕毅に対するフェルスタッペンの走行妨害に加えて、Q1では3件のインシデントが発生した。セッション後に調査が行われるため、リザルトが変更となる可能性がある。

ローガン・サージェント(ウィリアムズ)はランス・ストロール(アストンマーチン)に対する走行妨害で、フェルスタッペンは青信号が灯っていたにも関わらず、ピットレーンで長時間停車して後続を妨害した疑いがあるとして審議される。

また、ターン16~19区間でスロー走行したマシンが複数台確認された件も調査される。ただ、前戦イタリアGPでは1周の最低タイムが設定されていたものの、シンガポールではそのような取り決めはなされていない。

予選Q1:角田がトップ通過!

決勝のスタートグリッドを決する争いは気温30℃、路面温度35℃のドライコンディションでスタートした。公式タイヤサプライヤーのピレリはハード(白色)にC3、ミディアム(黄色)にC4、ソフト(赤色)にC5コンパウンドを持ち込んだ。

エントリーした全20台で争われる18分間の予選第一ラウンドは路面の進化が大きく、タイムシートが目まぐるしく入れ替わる展開となった。角田裕毅はペレスを0.108秒差で退けトップ通過を果たした。

チェッカーフラッグが振られた後、ストロールが最終コーナーで大クラッシュを喫した。幸いにもドライバーに怪我はなかったが、AMR23は無惨な姿に成り果てた。バリアに対してほぼ、全開で正面衝突するような事故だった。予防措置としてストロールはメディカルセンターに搬送された。

赤旗が振られた事でセッションは終了となり、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)を含む数名のドライバーがQ1最終ラップをフィニッシュできなかった。

フェラーリ勢もクラッシュによりラップ中断を強いられたため、事故がなければ角田裕毅のトップ通過は叶わなかったかもしれないが、それでもラップを終えたペレスや最終的に予選2番手を刻む事になるラッセルを抑える堂々のパフォーマンスだった。

予選Q2:レッドブルがダブル敗退

事故により損傷したバリアの修復のため、Q2の開始は34分遅れとなった。1回目の計測を終えてラッセルが暫定トップを記録。レッドブル勢はフェルスタッペンが10番手、ペレスが11番手と、揃ってノックアウトゾーンに沈んだ。

角田裕毅は新品を履いて1回目の計測ラップに向かったものの、セクター3の途中でフェルスタッペンに前を塞がれ、ラップの中止を余儀なくされた。

ワンチャンスという崖っぷちの最終アタックでは、セクター2まで自己ベストを刻んだものの、セクター3で再びアクセルを緩めピットイン。ノータイム15番手でQ2敗退を喫した。

フェルスタッペンは最終計測でタイムを削ったものの十分ではなく、ペレスはスピンを喫したため更新できず仕舞に終わった。トップ通過はサインツ。ラッセルとアロンソがこれに続いた。


2023年F1シンガポールGP決勝レースは日本時間9月17日(日)21時にフォーメーションラップが開始され、1周4,940mのマリーナベイ市街地コースを62周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

2023年F1第16戦シンガポールGP予選リザルト

Pos No Driver Team Q1 Q2 Q3 Laps
1 55 カルロス・サインツ フェラーリ 1:32.339 1:31.439 1:30.984 20
2 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 1:32.331 1:31.743 1:31.056 17
3 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:32.406 1:32.012 1:31.063 21
4 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:32.483 1:31.951 1:31.270 20
5 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:32.651 1:32.019 1:31.485 16
6 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 1:32.242 1:31.892 1:31.575 21
7 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 1:32.584 1:31.835 1:31.615 17
8 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 1:32.369 1:32.089 1:31.673 18
9 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 1:32.100 1:31.994 1:31.808 21
10 40 リアム・ローソン アルファタウリ・ホンダRBPT 1:32.215 1:32.166 1:32.268 21
11 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 1:32.398 1:32.173 14
12 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 1:32.452 1:32.274 12
13 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 1:32.099 1:32.310 13
14 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 1:32.668 1:33.719 12
15 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダRBPT 1:31.991 10
16 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 1:32.809 9
17 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 1:32.902 9
18 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 1:33.252 9
19 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 1:33.258 9
20 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 1:33.397 8

コンディション

天気晴れ
気温30℃
路面温度35℃

セッション概要

グランプリ名 F1シンガポールGP
セッション種別 予選
セッション開始日時

サーキット

名称 マリーナベイ市街地コース
設立 2008年
全長 4940m
コーナー数 19
周回方向 反時計回り

F1シンガポールGP特集