優勝してクルマの上でガッツポーズを取るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レース
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2023 F1オーストリアGP《決勝》結果/概括:走路違反84件の大混乱…フェルスタッペン5連勝!角田、接触経てトラリミ20秒ペナ

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2023年FIA-F1世界選手権第10戦オーストリアGPの決勝レースが現地7月2日にレッドブル・リンクで行われ、マックス・フェルスタッペンが今季5連勝、通算42勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。角田裕毅(アルファタウリ)は完走車両中最下位の19位に終わった。

他車とのタイヤ戦略上の違いがあったため全周リードラップとはならなかったが、フェルスタッペンはラスト2周の時点で後続に24秒もの大差をつけ、このギャップを利用して新品ソフトに交換すると、最終周に1分7秒012のファステストラップを刻み、満額26ポイントを加算した。

シャルル・ルクレールが今季ベストの2位フィニッシュを果たし、フェラーリが今シーズン2回目となる表彰台を獲得した。3位に滑り込んだのはセルジオ・ペレス。15番手でQ2敗退を喫した予選での失態を見事挽回。チームにホームレースでのWポディウムを捧げた。

レッドブル・リンクの表彰台に立つシャルル・ルクレール(フェラーリ)、レッドブルのフィル・ターナー、優勝したマックス・フェルスタッペン、3位セルジオ・ペレス、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・リンクの表彰台に立つシャルル・ルクレール(フェラーリ)、レッドブルのフィル・ターナー、優勝したマックス・フェルスタッペン、3位セルジオ・ペレス、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レース

アクション満載となったこの日のレースではトラックリミットを巡ってレース後にアストンマーチンが異議申し立てを申請。調査の結果、最終的に計84件ものラップタイムが抹消され、8名に追加のペナルティが科されてリザルトが大きく変動した。14台の順位がレース後に変更された。

全20名中18名が少なくとも1回のトラック・リミット違反を犯した。その内の9名がタイムペナルティを受けた。ターン9での違反は28回、最終ターン10での違反は36回に及んだ。

最もトラック・リミット違反の回数が多かったのは10回のエステバン・オコン(アルピーヌ)で、計30秒が加算された。9回、計20秒の角田裕毅とアレックス・アルボン(ウィリアムズ)がこれに続いた。

走路違反の内訳分析

3番手から4位フィニッシュしたカルロス・サインツ(フェラーリ)もその一人だった。5秒ペナルティに加え、ピットストップの際に不手際があったためにタイムをロス。挙げ句、レース後に追加で10秒が科されて最終5位と、更に順位を落とした。

代わってトップ3に続いたのは、大改良を受けたマクラーレンMCL60をドライブしたランド・ノリスだった。Driver of the Dayに選出された。

ノリスからのトラック・リミット密告を経て、累計15秒ペナルティを受けたルイス・ハミルトン(メルセデス)はレース中、ペレスが同様の行為を続けていると非難し続け、チーム代表のトト・ウォルフからなだめられる場面もあった。結局最終8位に終わり、周冠宇(アルファロメオ)と並び1度もトラック・リミットを犯さなかった唯一のドライバー、僚友ジョージ・ラッセルが繰り上がりの7位を獲得した。

フェルナンド・アロンソは違反回数を1度に抑えて6位から5位に昇格。チームメイトのランス・ストロールが10位に滑り込み、繰り上がりの9位となった事でアストンマーチンはダブルポイントを手にした。

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)もトラック・リミットによる計15秒ペナルティを受けた一人だが、それでも10位入賞と踏み止まった。

レース概要

決勝は日本時間2日(日)22時にブラックアウトを迎え、1周4318mのコースを71周する事で争われた。近隣で雨が降るも現地シュピールベルクは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温22℃、路面32℃のドライコンディションで開始された。

2023年7月2日のF1オーストリアGP決勝レースにおける気象条件の変化Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年7月2日のF1オーストリアGP決勝レースにおける気象条件の変化

シャルル・ルクレール(フェラーリ)を抑えて隊列をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レースのスタート直後のメインストレートCourtesy Of Red Bull Content Pool

シャルル・ルクレール(フェラーリ)を抑えて隊列をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レースのスタート直後のメインストレート

公式タイヤサプライヤーのピレリは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。ハードを選択した以下の3名を除く全車がミディアムを履いてグリッドに着いた。

  • フェルナンド・アロンソ(7番グリッド)
  • バルテリ・ボッタス(14番グリッド)
  • ケビン・マグヌッセン(ピットレーン)

オープニングラップでは角田裕毅がターン1の出口でエステバン・オコン(アルピーヌ)を接触。フロントウイングの左翼端板が破損してコースに飛び散り、続くターン4で止まりきれずにグラベルに飛び出した。デブリの回収のためにセーフティーカー(SC)が導入された。

クルマにダメージがあると報告してピットへと戻った角田裕毅はウイングとタイヤを交換。最後尾にまで転落したが、4周目にリスタートを迎えると一気に17番手にまでポジションを取り戻した。

13周目、タイヤ交換を終えたばかりのニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が白煙を上げてターン3でクルマを止めた。エンジントラブルと見られる。8番グリッドの好位置を結果に繋げることは出来なかった。

これに伴いバーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入されると、レッドブル勢や角田裕毅を除くグリッドの大部分がタイヤ交換に動いた。

ダブルスタックにトライしたフェラーリは、2台ともにタイヤ交換に4秒以上を要し、ルクレールに続いてピットに入ったサインツはハミルトンとノリスにポジションを奪われ、何でステイアウトしなかったのかと憤りをあらわにした。

ステイアウトした角田裕毅は16周目に8番手にまで浮上したものの、1周目の接触の影響か。その後、ズルズルとポジションを落としていき、ハードタイヤを履いていたにも関わらず、15番手にまで後退した23周目に再びピットストップを行った。

レースは終始、黒白旗とトラック・リミットが飛び交う展開となった。

無線を通してノリスによる走路違反報告を経てペナルティ第一号となったハミルトンはフラストレーションからか、他車への走路違反ペナルティについて尋ね続け、ウォルフから「ルイス、クルマが悪いのは分かってる。どうかドライビングに集中してほしい」となだめられる場面があった。

トラック・リミット以外では、ピットレーンでローガン・サージェント(ウィリアムズ)に対するアンセーフリリースがあったとして、オコンに5秒ペナルティーが科された。

また、バトルの最中にマグヌッセンをグラベルに追いやったとして、トラック・リミットとは別にニック・デ・フリース(アルファタウリ)も5秒ペナルティを受けた。

VSCのタイミングでステイアウトしたラップリーダーのフェルスタッペンは24周目にハードタイヤに交換。3番手でコースに復帰すると、35周目にルクレールを交わして首位を奪還し、ファステストラップを引っ提げトップチェッカーを受けた。

タイヤ戦略

2023年7月2日のF1オーストリアGP決勝レースにおけるドライバー別タイヤ戦略Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年7月2日のF1オーストリアGP決勝レースにおけるドライバー別タイヤ戦略

2023年7月2日のF1オーストリアGP決勝レースにおけるコンパウンド別最長スティントCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年7月2日のF1オーストリアGP決勝レースにおけるコンパウンド別最長スティント

2023年F1第10戦オーストリアGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 71 1:25:33.607 26
2 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 71 +5.155s 18
3 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 71 +17.188s 15
4 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 71 +26.327s 12
5 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 71 +30.317s 10
6 55 カルロス・サインツ フェラーリ 71 +31.377s 8
7 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 71 +48.403s 6
8 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 71 +49.196s 4
9 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 71 +59.043s 2
10 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 71 +67.667s 1
11 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 71 +79.767s 0
12 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 70 +1 lap 0
13 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 70 +1 lap 0
14 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 70 +1 lap 0
15 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 70 +1 lap 0
16 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 70 +1 lap 0
17 21 ニック・デ・フリース アルファタウリ・ホンダRBPT 70 +1 lap 0
18 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 70 +1 lap 0
19 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダRBPT 70 +1 lap 0
NC 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 12 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温22℃
路面温度32℃

セッション概要

グランプリ名 F1オーストリアGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 レッドブル・リンク
設立 1969年
全長 4318m
コーナー数 10
周回方向 時計回り

F1オーストリアGP特集