デ・フリース「それでも僕は新人」角田裕毅の才能と関係性、紆余曲折を経てのF1に懸ける思い
ニック・デ・フリースのF1への道のりは他の多くのドライバーとは大きく異なる。FIA-F2選手権制覇を経て逆にF1から遠のき、フォーミュラEと耐久レースでキャリアを重ねて舞い戻った。
近代F1におけるデビューは20代前半が一般的だが、デ・フリースは28歳という年で今年、アルファタウリから初のフル参戦を果たす。
デ・フリースにとってのF1は半ば諦めかけていた夢だった。それだけに思うところは大きい。
新車AT04のローンチを経てデ・フリースは「僕の旅は少し特殊で長かった。だからチャンスが得られた事に対する感謝の念が大きいし、自分の価値を示すために殊更、貪欲になっているんだと思う」と語った。
「何よりも夢の実現に向けてチャンスを掴めたことに興奮しているけど、それと同じくらい、パフォーマンスを発揮して結果を残していく事に対してモチベーションが高まっている」
メルセデスのF1リザーブ兼テストドライバーとして様々なチームでF1マシンをドライブしてきただけでなく、昨年はアレックス・アルボンの代役としてF1イタリアGPを戦った。
それだけにデ・フリースをルーキー扱いするのが適切かどうかは意見が分かれるところだが、デ・フリース自身は「それでも僕はルーキーだと言えるだろうね」と慎重だ。
「もちろん、これまで色々なクルマに乗らせてもらったけれど、その恩恵はコースタイムにあまり関係ないと思う」
「かなり限られていたからね。3回のルーキーテスト(シーズン末テスト)を除けば、まともにテストをしていないから」
「FP1での走行は自分の存在をアピールするという点で素晴らしい機会だし、まる1日のテスト走行とは違った意味でのプレッシャーがあって良い経験になった」
「でもコースやレースでの経験という点では、今年の他のルーキーたちより少ないかもしれない」
「ただ、年齢的には僕のほうが少し上だし、いろんなチャンピオンシップに参戦する機会があったから、経験値という点では幾らか価値をもたらせると思う」
今年デ・フリースと並んでF1デビューを果たすオスカー・ピアストリ(マクラーレン)はアルピーヌの下で大量のプライベートテストに取り組んできた。
また、ローガン・サージェント(ウィリアムズ)はスーパーライセンス取得のために幾度となく週末のFP1でステアリングを握っている。
チームスポーツであるF1で良い成績を残していくための鍵の一つはチームとの良好な関係だ。この点についてデ・フリースは「無理に築けるものじゃないし時間がかかる」としながらも「本当に温かく迎えてくれた」と振り返る。
「早くチームに溶け込めるよう、できる限りのことをしたつもりだ。エンジニアリング部門を含めて色んな人たちと会って、好き嫌いなど、あらゆる事について少しばかり具体的な作業に取り組んだ」
「その結果、チームに溶け込む事ができたと思うけど、それと同時に、改善の余地がある隔たりを見いだすこともできた」
米国ニューヨークでのシーズンローンチを前にデ・フリースは、チームメイトの角田裕毅と同じくドバイで2週間に渡るトレーニングに勤しんだ。
「かなり上手くいったと思う。限界ギリギリまで取り組んだ事で準備は一層整ってきたし、間違いなく良い状態だ。それにまだ(バーレーンテストまでに)時間の猶予があるから心配することは何もない」
「スケジュールが別々だったから、それほど顔を合わせることはなかったけど、ユーキのことは少し前から知っているんだ。一緒にレースをしたのは昨年のモンツァだけだけどね!」
「ユーキは本当に才能溢れる速いドライバーだと思うし、それに加えて今ではF1での経験を持っている。その一方で僕が持つ経験は少し変わっている」
「僕らは2人でチームの前進を助けていけるだろうと思う。間違いなくね」