FIA授賞式で気まずい雰囲気…レッドブル代表に壇上反論するベン・スレイエム会長、混乱の鈴鹿を巡り
2022年の国際自動車連盟(FIA)授賞式は終盤、気まずい雰囲気に包まれた。コンストラクターズ選手権トロフィーを受け取りに上がったレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表に対し、モハメド・ベン・スレイエムFIA会長が壇上で反論。間にいたF1のステファノ・ドメニカリCEOが割って入る場面があった。
チャンピオン達を祝う毎年恒例のFIA授賞式は今年、イタリアのボローニャで12月9日(金)の夜に行われた。式典にはタイトル2連覇を果たしたマックス・フェルスタッペンやランキング2位のシャルル・ルクレール、3位のセルジオ・ペレスらが出席した。
🏆 @Max33Verstappen is the 2022 FIA @F1 Drivers' World Champion!#FIAPrizeGiving pic.twitter.com/JRSoxyEBwS
— FIA (@fia) December 10, 2022
セレモニー終盤、壇上でコンストラクターズ・チャンピオンシップのトロフィーを受け取ったホーナーは、その成功を今年10月に亡くなった創業者のディートリッヒ・マテシッツに捧げた。
あらゆる種類のチャンピオンシップでレッドブルのロゴを掲げたマシンが多数出走している事からもモータースポーツに対するマテシッツの功績は明らかであるとしてホーナーは「このチャンピオンシップとトロフィーを、モータースポーツ界とF1に多大な貢献を残した特別な人物に捧げたいと思う」と語った。
「何より彼はモータースポーツのファンだった。彼は今夜ここにいる多くのドライバーに、多くのカテゴリーでチャンスを与えた。彼は何千人ものエンジニアや技術者、メカニックに機会を与えた」
「歴史上のどの人物よりもモータースポーツに貢献したことは間違いないと思う。だから今夜、私はこれをディートリッヒ・マテシッツに捧げたい」
マテシッツはレッドブルの9年ぶりのF1コンストラクター選手権制覇を目にすることなくその前日にこの世を去った。ただ、フェルスタッペンの2冠目に関してはテレビでその瞬間に立ち会うことができた。
「ポイントに関して少し混乱があったが、ありがたいことにマックスは日本という早い段階でチャンピオンを獲得した。その様を彼(マテシッツ)は見ていた」とホーナーは語った。
「そして次の週末、彼が亡くなった翌日に我々はこのトロフィーを獲得した。だから、これは本当に特別なものなんだ」
このスピーチの直後、ベン・スレイエムはマイクを握ると「あなたは日本GPが議論を呼んだと言ったね? それは違う」とステージ上で反論した。ホーナーは真顔を崩さず眉をひそめた。
「ポイント配分に関してFIAは非難に晒されたが、ルールを作ったのはFIAではなくチームであり、我々はそれを実行していたのだ。だから、その点に関してはよろしく頼むよ」
両者のやり取りを間で見守っていたドメニカリは苦笑いを浮かべながら「よし、みんな、集中しよう!」と述べ、ベン・スレイエムとホーナーの間に体を割り込ませた。
今年の日本GPはポイント配分を巡って混乱が生じた。雨の鈴鹿でトップチェッカーを受けた時点でフェルスタッペンはおろか、チームや各国のベテランF1ジャーナリストの殆どは選手権の持ち越しを予想していた。
それは規定周回数を満たさずにレースが終了したためで、ポイント減額ルール適応の対象になると思われたためだったが、実際に減額となるのはレースが”途中終了”となった場合であったため、フェルスタッペンにはフルポイントが与えられタイトルが決した。
ベン・スレイエムはドメニカリがホーナーにトロフィーを授与した直後にも「クリスチャン、このカップはコストキャップとは関係ない。これはFIAから贈るものだから、我々はあなた方の予算からこれを差し引くつもりはない」と述べ、周囲をドギマギさせる場面があった。
レッドブルは2021年シーズンの予算超過により700万ドルの罰金と空力テスト10%減のペナルティを科されている。