アロンソ、罰則が正当化されれば「F1に大問題が勃発」破損走行での入賞剥奪を経て警鐘
「安全でない」状態のクルマでレースを続けたとして7位入賞が剥奪された事についてフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は、罰則が正当化されれば「F1に大問題が勃発する」と述べ、聴聞会を前に国際自動車連盟(FIA)への圧力を強めると共に警鐘を鳴らした。
アロンソはランス・ストロール(アストンマーチン)との接触事故によりミラーを含めたマシンにダメージを負いながらも、レースを続行してF1アメリカGPを7位でフィニッシュした。だがハースF1チームからの異議申立てを経て、ポイント圏外の15位に降格させられた。
メキシコシティでの木曜会見でアロンソは、ストロールとの接触は「不運なレーシングアクシデント」だったとの認識を改めて強調した上で、スチュワードの決定について「本当にガッカリだ」と述べた。
「日曜は僕にとって感情のジェットコースターのようだった。後方からスタートして6番手を争うまでに巻き返したものの、事故によって再び最後尾に転落し、7位でフィニッシュしたと思ったら夕方にポイントを剥奪されたわけだ。一日を通してずっとアップダウンが続いた」
アルピーヌはこの決定を不服として異議申立てを申請しており、今週末のF1メキシコGPを前にした現地10月27日(木)18時よりオンラインにて聴聞会が行われる。アルピーヌはハースの異議申し立てが締め切り時刻の24分後に提出され、そして受理された事を指摘している。
「さて、どうなるか様子を見てみよう。7位を維持できるとかなり楽観視しているけどね」とアロンソは続ける。
「FIAは今年、高い透明性を保ってきた。モハメド(ベン・スレイエムFIA会長)による新しいリーダーシップの下、これまでとは少し違っているように思うし、彼らがこれから下す事になる決定については完全に信頼している」
「彼らの側(FIA)で幾つか間違った事があったのはかなり明確だと思うし、7位を取り戻せると確信している」
「もし最終的に7位を維持できなかった場合、彼らはその理由を明確に説明してくれるはずだ。その点ではリラックスしている」
アルピーヌが異議申し立ての根拠としているのは提出期限の遅延だが、真に問題視しているのはマシンの損傷によってペナルティを科したFIAによる判断そのものだ。
「タイムペナルティの決定に対して異議申し立てを行う事はできないんだ」とアロンソは説明し、「ルールがそうなっているのはナイスだね! 如何なる決定であれ訴えることができないなんてさ」と皮肉った。
「僕らが抗議したのは提出期限切れだった事を含めて幾つかの理由があったからだ。FIAは僕にオレンジボールを振らなかった。つまり安全にドライブできる状態だと判断したって事だ」
「レース後のパルクフェルメでクルマは全ての検査をパスしてグリーンライトが灯された。更に異議申し立ての提出は遅すぎた」
「そういうわけで、あれが正しい判断でなかったのは間違いないと僕は考えている」
レギュレーションではどのような状態が「安全でない」のかについて具体的な規定はないが、今回の審理においてミラーが壊れた状態が違反にあたるとの判断が下された事で、今後はミラーが破損すれば即リタイヤを余儀なくされる事態が想定される。
アロンソは「もしこれが正しい判断だとされれば、F1に大問題が勃発する事になる」と警告する。
「将来的に50、60、70%のクルマが、空力デバイスが適切に固定されておらず安全でないという理由でリタイアしなければならなくなる」
アロンソはこの日、行われる予定の聴聞会に触れて「今日は僕らのスポーツにとって本当に重要な日だ。僕はタイトルを争っているわけじゃないし、7位というリザルトにも固執しちゃいない。その箱を開けたくないんだ」と付け加えた。
スチュワードはまず、現地27日(木)18時から公聴会でアルピーヌの異議申し立てを受理するか否かを判断する。もし受理されれば別途審理が行われる。