F1モナコGPは岐路に立たされている、とマクラーレン…ラスベガス誕生で特権的立場は過去のもの
2023年からのF1ラスベガスGPの開催決定を受け、マクラーレンのザク・ブラウンCEOは、伝統のF1モナコGPは岐路に立たされていると指摘した。
インディ500、ル・マン24時間レースと並び世界3大レースの一つとされるF1モナコGPは他のF1レースが持ち得ない特権を有しているが、魅惑の市街地戦はモナコの専売特許ではなく、既得権を維持できる以前ほどの魅了はないというのがブラウンの主張だ。
英国ウォーキングのチームを率いる50歳のアメリカ人経営者はロイターとのインタビューの中で、モナコGPは「F1の華やかさを最も象徴」するイベントであり続けていたが、人気向上に伴い価値が向上している昨今のF1カレンダーには、同じ様に独自の魅力を備えるグランプリが幾つもあると指摘した。
ブラウンは、今年5月に初開催を迎えるマイアミGP、ナイトレースの定番シンガポールGP、そしてラスベガスGPの3つの市街地戦は「かなり魅力的なマーケット」だと述べ、モナコが持っていた特権的な立場は既に過去のものだと主張した。
「モナコは他のグランプリと同じような商業条件を満たす必要があるし、マシンの大型化に伴いレース性が失われてきているため、これに対処するためにコースを適合させる方法も検討する必要があるのではないかとも思う」
例えばカレンダーの中で最も高額な開催権料支払っているのはサウジアラビアとアゼルバイジャンだと見られており、その金額は1レースで5,500万ドルとも噂されているが、モナコはどこよりも圧倒的に安い1,500万ドル程度と見積もられている。
F1は2017年にレギュレーションを変更し、車幅を1800mmから2000mmに拡大させた。マシンが大きくなれば、その分だけコースは相対的に小さくなり、特にモンテカルロ市街地コースのようなタイトなサーキットでは追い抜きが難しくなる。この年のモナコGPでのオーバーテイクはDRSを使ったものを含めて僅か6回に過ぎなかった。
ブラウンは「歴史を考慮に入れる必要はあるが、ショーという点も考慮しなければならないだろう」と述べ、「このスポーツへの経済的な貢献度」も踏まえた上で、F1はモナコとの契約更新交渉に向き合っていくべきだと訴えた。
モナコに対するF1の姿勢は既に変化してきている。F1のレースウィークは金曜日を初日とする3日間制だが、モナコGPは伝統的に、木曜に初日フリー走行を行う変則的な4日間フォーマットを採用してきた。だが、リバティ・メディア体制のF1は今年、他と同じ様に3日制へと変更した。
モナコGPの開催契約は今季を以て満了を迎える。その意味では理論上、今年限りでカレンダーから姿を消す可能性もあるわけだが、契約は更新される見通しだ。