ピットウォールで腕を組むメルセデスのトト・ウォルフ代表、2021年7月31日F1ハンガリーGPにて
Courtesy Of Daimler AG

メルセデスF1、アブダビ控訴取り止めでFIAと裏取引? ハミルトン現役継続の鍵は…

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2021年シーズンのF1最終アブダビGPでの劇的結末を経てメルセデスが控訴を撤回した背景に、統括団体の国際自動車連盟(FIA)との裏取引があったと報じられている。

レース最終盤のセーフティーカー導入と解除を巡るFIAレースディレクターのマイケル・マシの判断が一因となり、ルイス・ハミルトンはレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンにチャンピオンの座を奪われる格好となった。

メルセデスはこれを不服として異議申し立てを申請するも、スチュワードがこれを却下した事で控訴の意思を表明するに至った。だが3日間の沈黙の後に撤回を発表し、フェルスタッペンの初タイトルが確定した。

メルセデス側は否定したとしながらも、BBC Sportは関係者からの情報として、ヤス・マリーナ・サーキットでのレース結果に対する控訴を取り止めたのはFIAとの取引があったためだと伝えた。

どういう内容なのか?

報道によるとメルセデスは控訴撤回の見返りとして、マシ並びにシングルシーター技術担当責任者を務めるニコラス・トンバジスの退任でFIAと合意に至ったという。

なぜ一連の意思決定とは無関係と思われるトンバジスの名が上がっているのかは全くの謎であり、また、適切な人材が見当たらない事からマシの後任探しは現実的に極めて困難とも言える。

FIAのジャン・トッド前会長は12月15日の世界モータースポーツ評議会(WMSC)の中でアブダビでの一件について、関係者全員による詳細な分析を行い、今後に向けて評価・解明していく事を提案。WMSCは全会一致でこれを支持して調査委員会を立ち上げた。

シルバーアローの指揮官、トト・ウォルフ代表は控訴撤回表明直後に「FIAとは良い話し合いが出来た」とする一方、調査委員会が「言葉だけでなく」実際に「行動を起こす」よう要求した上で「我々は彼らに行動の責任を取らせるつもりだ」と語った。

またマシについては「レースディレクターを変えるだけではなく、意思決定のシステム全体を改善する必要がある」と述べているが、同時に「多大なプレッシャー」に晒されていたとも認めており「その原因のいくつかは我々自身の落ち度にある」とも語っている。

ウォルフはレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表との間で激しい場外乱闘を繰り広げ、共に自分たちのチームに有利になるようFIAへの働きかけを続けていた。

なおSky Sportsによると、未だに来季の去就が不透明とされるハミルトンが2022年シーズンも現役を続行するか否かは調査委員会の結果次第の事で、3月のバーレーンでのシーズン開幕前までに発表が予定されているFIAのレビュー結果が注目される。

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