フェルスタッペン「それが理由じゃない」ペレス献身の”牽引プレー”に感謝もポールへの影響を除外
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは12月11日(土)のF1アブダビGP予選を終えて、僚友セルジオ・ペレスの献身的プレーに感謝する一方、牽引によるゲインは僅か「0.1秒」ほどだとしてポール獲得への影響を除外した。
チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが明かしたように、チームは事前にスリップストリームを分け与える戦略について協議していた。ダウンフォースを削り、トウを使う。それが直線区間でメルセデスに対抗し得る「唯一の対抗策」だと考えた。
ペレスはQ3の1回目の自身のラップを犠牲に、2本のバックストレートでチームメイトにスリップストリームを与えた。フェルスタッペンは1分22秒109という途方もないタイムを叩き出し、メルセデスのライバル、ルイス・ハミルトンにコンマ3秒以上の差をつけ今季10度目のポールポジションを手にした。
フェルスタッペンは「チェコは本当に素晴らしいチームメイトだし、一緒に仕事をしていて本当に楽しい。だから彼に心からお礼を言いたい」とする一方で、トウによる影響については「確か凄く良かったし上手くやれたと思うけど、差がついたのはそれが理由じゃない。ターン9に向けてコンマ1秒は稼げたかもしれないけど、そんなに長いストレートじゃないからね」と説明した。
なおクリスチャン・ホーナーもトウによるゲインを「コンマ1・2秒」と推計している。
リザルトこそこれ以上ない最高の結果だが、決勝レースに向けての懸念材料もある。フェルスタッペンはQ2の1回目にミディアムタイヤを履き、次のラウンドに突破するに十分なタイムを刻んでいたものの、どういう訳かその後、ターン1でフラットスポットを作った。仮に駆け引きでないのなら完全な失態だ。
フェルスタッペンは「もちろん、あれは予定外だった。ミディアムでスタートしようと思っていたんだけど、フラットスポットを作ってしまった」と認めながらも、決勝への影響を軽視した。
「でも、昨日のロングランでのソフトの感触は良かったから、『よし、じゃあソフトでいくか』って決断するのは特に難しくはなかった」
少なくともポイントという観点から言えば、今シーズンのドライバーズチャンピオンシップ争いは71年に及ぶF1史の中で最も激しくタイトだ。フェルスタッペンとハミルトンは史上最多22戦を終えて同一の369.5ポイントで並び、日曜の最終決戦に臨む。歴史的な瞬間となるのは間違いない。
「明日も今日みたいなパフォーマンスが出せれば良いんだけど、保証は何もない。本当に激しい戦いになると思っている」とフェルスタッペン。
「特に過去数戦のメルセデスの調子を考えると、決して楽なレースにはならないはずだ。今はただ、明日を楽しみにしてる。だってそれが何より重要な事だからね」
2021年シーズンのF1フィナーレを飾る最終第22戦アブダビグランプリの決勝レースは、日本時間12月12日(日)22時にスタート。1周5,281mのヤス・マリーナ・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。