ロサイル・インターナショナル・サーキットのピットレーン、2021年MotoGP公式テストにて
Courtesy Of YAMAHA MOTOR RACING SRL

初開催F1カタールGP!コース解説を通して勝敗の鍵を探る…レッドブル対メルセデス、どっちが有利?

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F1サーカスは3戦後のシーズンフィナーレに向けて、今週末の11月19~21日に初開催のカタールGPを迎える。ロサイル・インターナショナル・サーキットでグランプリが開催されるのは今回が初めてで、過去の実績や統計・データは皆無だ。

正確に言えば、アストンマーチンのリザーブを務めるニコ・ヒュルケンベルグとレッドブル・ホンダのセルジオ・ペレスの2人は2009年のGP2アジアシリーズで、ハースのニキータ・マゼピンは2014年のMRFチャレンジフォーミュラ2000で各々ロサイルを経験しているが、チームが持つのはシミュレーションやシミュレーターでの情報のみだ。

前戦サンパウロGPでのターン4の一件についてメルセデスがクリスチャン・ホーナー代表の誕生日に再審査請求を要求し場外戦を仕掛けるなど、両チャンピオンシップ争いにおける緊張感は極限まで高まりつつある。カタールGPで優位に立つのはレッドブル・ホンダか? それともメルセデスか?

セッション毎に序列が変わってしまう程にタイトな両者の戦いがどういう結末を迎えるのかは誰にも分からないが、観戦の際には何らかの予測があった方が見るポイントも絞られ、楽しみも増大するというものだ。そこで未知なるロサイルのコース解説を通して、勝敗の鍵を握る可能性がある要素を見ていきたい。

連続16コーナー、平均速度はハンガロリンク級

F1カタールGPの舞台、ロサイル・インターナショナル・サーキットのコースレイアウト図

ドーハに位置するこのコースはホームストレートが1km強と長いものの、シルバーストンやムジェロを想起させるような16もの厳しいコーナー(右コーナー10個、左コーナー6個)が連続しており中々に慌ただしい。DRSゾーンはホームストレートの1箇所のみだ。

注目の一つは3つのエイペックスを持つ右コーナー(ターン12~14)で、シミュレーションによればカレンダートップクラスの5.2GものGフォースが見込まれている。イスタンブール・パークの名物コーナー、ターン8を逆方向としたかのような印象だ。

平均速度はハンガロリンクやカタロニア・サーキットのように遅い部類に入る。最も低速なのはターン6で約100km/h、逆に最も高速なのはターン13で約260km/hと推計される。

長い直線区間に低速コーナーと中高速コーナーが組み合わされたこのレイアウトからは、高いダウンフォースを持つレッドブルと低ドラッグのメルセデスのどちらか一方が圧倒的アドバンテージを持つとは考えにくい。だが敷いて言えば、メルセデスのトト・ウォルフ代表が指摘するようにミルトンキーンズのチーム向きかもしれない。

ロサイル・インターナショナル・サーキットの周回するヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロCourtesy Of YAMAHA MOTOR RACING SRL

ロサイル・インターナショナル・サーキットの周回するヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロ

鍵を握るはタイヤ

とは言え、最終的にはタイヤが鍵を握る可能性が高いように思われる。

コーナー間の距離が比較的に短いことからタイヤを休ませる暇はなく、路面の舗装は2004年開業当時のオリジナルのままで、時間の経過とともに粗い骨材が路面に露出しているため、高いグリップが期待できる反面、摩耗とデグラデーションはかなり大きいと予想される。

実際、57周で争われるカタールGPにピレリが供給するのは最も硬いC1~C3コンパウンドだ。このアロケーションも今年はこれで見納めとなる。

また、ローケーション的に周り全てが砂漠に囲まれているため、サーキットの周囲には人工芝が配置されているものの、風により運ばれてくる砂を完全に防げるわけではなく、条件次第でグリップに大きな影響が出る事も予想される。

カタールのロサイル・インターナショナル・サーキットを走るレッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイク・チームCBR1000RRファイアーブレードSP2を駆るジェイク・ガーンCourtesy Of Red Bull Content Pool

カタールのロサイル・インターナショナル・サーキットを走るレッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイク・チームCBR1000RRファイアーブレードSP2を駆るジェイク・ガーン

更にカタールGPは人工照明下で行われる今年4回目のナイトレースとなる。つまりレース中の路面温度の推移は昼間に行われる他のグランプリとは大きく異なり、時間の経過に従って大きく低下する事が予想される。何しろ砂漠は昼と夜の温度差が激しい。タイヤを機能させる事ができなければ、為す術なくライバルにトラックポジションを奪われかねない。

決勝レースは現地時間の17時に開始を迎えるが、FP1とFP3は日中の暑い時間帯に行われる。つまり60分間のFP2で如何にクルマを仕上げられるか、また、気温が低いコンディションでのタイヤの挙動を如何に理解できるかが勝負の鍵と言えそうだ。

追い抜きは困難? レースは戦略勝負

DRSゾーンが長く取られた事からも分かるように、恐らくオーバーテイクは難しいだろう。つまり予選が重要になるものと思われる。ただしタイヤのデグラデーションが大きければレースペースの方が重要だ。

レッドブル・ホンダとメルセデス、パフォーマンスが拮抗する事になれば、決勝では2台揃って上位を走った方に分がある。タイヤの性能劣化が激しい場合、アンダーカットとオーバーカット、戦略が有効に機能する。

なお今週末はサポートレースがなく、また最近はあまり頻繁に使用されていないため、週末の出だしはクルマの横滑りに手を焼くマシンが続出する事になるかもしれない。路面の変化はかなり大きいだろう。また、路面にラバーが載ったとしても、風に運ばれる砂によって、あっという間にリセットされてしまう可能性もある。

F1カタールGPは日本時間11月19日(金)19時30分からのフリー走行1で幕を開ける。

F1カタールGP特集