”大好き”なのに何故? フェルスタッペンがF1からインディカーへの転向に興味がない理由
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、インディ500を含む北米最高峰のオープン・ホイールとして知られるインディカー・シリーズを見るのが「大好き」だと明かしながらも、将来的な転向の可能性を除外した。何故か?
F1とインディカーはどちらもシングルシーターの最高峰と見なされているが、内容は大きく異なる。
F1はチームの開発競争を重視して伝統にエンジニアリングに重きを置くが、インディカーは低予算で対等に戦えることを優先。シャシーはワンメインクで競争力の格差は遥かに小さく、フェルナンド・アロンソのインディ500参戦を機に、その熾烈な争いは欧州におけるインディカー人気に火をつけた。
古くはナイジェル・マンセルやエマーソン・フィッティパルディ、アレックス・ザナルディといった面々がF1の次なるキャリアにインディカーを選んだ。また最近では、佐藤琢磨やアレクサンダー・ロッシ、マーカス・エリクソンやロマン・グロージャンらがF1から米国へと戦いの舞台を移して活躍している。
フェルスタッペンはF1第17戦アメリカGPを前に、インディカー・シリーズの現地放映を担当しているNBCスポーツのインタビューに応じて「(インディカーを)見るのが大好きなんだ。確かにF1とは少し違う部分もあるけど、そこもまた良いところだし、見ていて凄く面白い」と語った。
ただその一方で「僕としては、もちろんF1に参戦している今の状況に満足してる」と述べ、転向する考えがない事を明らかにした。それは欧州を拠点とする多くのドライバー達が口にする理由と同じものだった。
インディカー・シリーズのカレンダーにはF1的な常設のロードコースと市街地コース、そして米国特有とも呼ぶべきオーバルが混在しているが、コロナ渦がなければ今年マクラーレンSPからインディカーに参戦していた可能性があるジェンソン・バトン同様、フェルスタッペンはオーバルを危険と考え敬遠している。
「個人的にはオーバルがあまり好きじゃないんだ。ストリートトラックやロードコースは良いんだけどね」とフェルスタッペンは説明する。
「兎に角、大クラッシュのリスクが大きいからね。もちろんF1だってクラッシュするリスクはあるけど、時速200マイル(321km/h)以上の速度で壁に激突するのは楽しいものじゃないよね」
「インディカーの方がそういうリスクが高いし、それに誰かにぶつかってフェンスに突っ込んで酷い怪我を負ったりする例には事欠かないわけだからね」
「インディカーで走っているドライバーには心から敬意を払っているけど、僕としては今の自分に満足してるんだ」
オーバルは危険との理由で転向の可能性を退けるフェルスタッペンだが、まだ24歳と若く先は長い。先達のように気が変わる事もあるかもしれない。
2020年のF1バーレーンGPでの炎上大クラッシュの件もあり、グロージャンは当初、デイル・コインとの間でロード及びストリート専任としての契約を結んでいたが、生でインディ500を目の当たりにした後、8月のゲートウェイでオーバルデビューを果たしている。