終盤に再度降格ペナ? メルセデス、ハミルトンへの5基目エンジン投入の可能性除外せず
第17戦アメリカGP以降、ルイス・ハミルトンは再びエンジン交換ペナルティを受ける事になるかもしれない。メルセデスのトト・ウォルフ代表は、最終アブダビGPまでの間に5基目のICEを44号車に投入する可能性を除外していない。
ハミルトンは先日のトルコGPで年間割り当てを超える4基目のICE(内燃エンジン)を搭載して10グリッド降格ペナルティを受けた。結果、予選トップタイムを刻みながらも11番グリッドスタートとなり、最終5位でフィニッシュした。
チャンピオンシップでのリードはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に奪われ、ハミルトンは6ポイント差のドライバーズランキング2位に後退した。
新たなICEを開封した事でハミルトンは残り6戦に向けて2基を確保する事となったが、1基はマイレージを重ねており、信頼性はもとよりフレッシュな個体と比べると絞り出せるパワーにも限界がある。
レッドブル・ホンダ及びフェルスタッペンとの熾烈なチャンピオンシップ争いが続けば、当然エンジンを酷使せざるを得ない。そうなれば故障のリスクが増大する。エンジントラブルでレースをリタイヤする事だけは避けなければならない。
トト・ウォルフはSky Sportsとのインタビューの中で「(4基目のICEは)シーズンの終わりまで使えるが、もう1基のICEにはまだリスクがあるため、更なるICEを導入する価値があるかどうかを判断する瞬間が来るかもしれない」と語り、5基目投入の可能性を除外しなかった。
「ポイントがどう推移するか見守るつもりだ。4基のエンジンで十分だと思うが、決してノーとは言わない」
メルセデスがイスタンブール・パークでの週末に8度目の王座を目指すハミルトンに4基目を投じたのは、戦略的理由ではなく止むに止まれぬ強制的なものだった。
「やれねばらなかったのだ。内燃エンジンに関するデータから、あまり期待できない事が分かっていた。DNFを喫すればチャンピオンシップ争いで完全に終わってしまう」
「シーズンを通して幾つかのグレムリン(故障を起こす得体の知れない問題)を抱えてきた。それはどこから生じたのか、どれ位のパフォーマンスを犠牲にする可能性があるのか、完全には分からないものだった」
メルセデスは今年、パフォーマンスレベルを大きく引き上げたレッドブルとホンダに対抗するために、信頼性を犠牲にして高出力モードでのエンジンを運用してきた。一連の問題はチャンピオンシップ争いに打ち勝つべくエンジンに過度な負荷を掛け続けた事が原因だった。
トト・ウォルフは依然として「進行中」だとしながらも、英国ブリックスワースのHPPの懸命の取り組みもあって、問題の本質を掴みかけてきていると説明する。
「根本的な原因に関しては、以前よりも遥かに理解できてきている。これは材料やバッチに問題があると時に発生してしまう種類のものだ」
ただし仮に原因を解明したとしても、シーズン中に解決する事はできないようだ。
規制では信頼性に関わる内容についてはシーズン中のアップデートが認められているが、エンジンを酷使した事がM12の一連の問題に繋がっているならばFIAが追加開発を認める事はないだろう。トト・ウォルフは「パーツを再設計する事ができない」と述べている。