ピレリ・ポールポジション・アワードを手にするレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年8月28日F1ベルギーGP予選にて
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ポール獲得のフェルスタッペンがQ3最終アタックまで遅れ続けていた理由、ウェットの1ラップで何より重要な要素とは?

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最終的にはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が雨のスパを制して最速を刻み、通算9度目のポールポジションを獲得したものの、予選最終Q3の1回目の計測ラップまではライバルの後塵を拝する状況で、一度もトップに立てていなかった。

28日(土)のF1第12戦ベルギーGP予選のQ1とQ2でトップ通過を果たしたのはフェルスタッペンではなくランド・ノリス(マクラーレン)だった。またQ2ではノリスだけでなくメルセデス勢にも先行を許していた。

雨のスパ・フランコルシャンを走行するレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年8月28日F1ベルギーGP予選にてCourtesy Of Red Bull Content Pool

雨のスパ・フランコルシャンを走行するレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年8月28日F1ベルギーGP予選にて

更にQ3の1回目のラップもポールには不十分で、暫定ポールにつけたルイス・ハミルトンに対して0.9秒遅れていた。

自身初のスパ・ポールシッターとなったフェルスタッペンは何故Q1とQ2で遅れを取ったのだろうか? どうやらタイヤのウォームアップに手こずっていたようだ。

「予選は終始トリッキーだった。路面のコンディションという観点だけでなく、タイヤを適切なウインドウに入れ込むのも大変だった」とフェルスタッペンは説明する。

「それに視界の問題もあった。(前走車との適切な)ギャップを見つけるのが本当に難しかった。コース上に留まり続けて適切なタイミングで周回を重ねることが肝だった」

「ラップ自体は良かったと思うけど、ウェットコンディションの場合はラップが全てじゃないんだ。タイヤの熱入れが重要になる。何しろ温度に対して超敏感だからね」

「温度が高ければブレーキングに自信を持つ事ができる。そうなるとブレーキを遅らせる事ができるし、ターンインの際にグリップが向上してトラクションも良くなる」

「トリッキーだけど、最終的には上手くやれたよ」

並んで座るマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)、2021年8月28日F1ベルギーGP予選後プレスカンファレンスにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

並んで座るマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)、2021年8月28日F1ベルギーGP予選後プレスカンファレンスにて

コンディションの変化に加え、ノリスのクラッシュに伴う40分近い赤旗中断が発生したことで、予選での通常のアプローチ、つまり各セッションを通して少しずつタイムを縮めていく方法が取れず、Q3のアタックラップは事実上、練習なしの一発本番勝負となった。

フェルスタッペンは「Q1、Q2と徐々に積み上げてきたけど、その後にクラッシュが起きてセッションが長く中断された事で、いきなりQ3で走る事になった。こういう状況は本当にトリッキーなんだ」と続ける。

「(Q3では)路面がかなり濡れているように見えたから、エクストリーム・ウェットタイヤで走り出したいところだったけど、それだとタイヤ的にかなり遅いから、コース上に大量の水溜りがある状態には適さないインターを履いてコースに向かう事にしたんだ。本当に難しかった」

「ここはドライで走ると最高のコースだけど、ウェットの予選だとね。。怖いとまでは言わないけど、Q3では限界までプッシュしなきゃならないから、ウェットの中で本当に面白いと言うか、極限の状態だった」

日曜の決勝レースに関しては、降水確率的には雨が降る可能性が高いものの、ここは気紛れな天候がチームとドライバーを翻弄するスパであり、ドライとウェットが入り乱れるような容易に混乱が生まれ得る展開となる可能性も否定できない。

ポールシッターにとって不安定なコンディションは御免こうむるところだが、フェルスタッペンはウェットでもドライでも「かなり自信がある」と言い放つ。如何なる状況であれ、スパでのRB16Bの競争力に疑いを持っていないようだ。

「金曜にピットから出た瞬間から好調だった。クルマのフィーリングはまずまずで、大きなドラマは何もなかった」とフェルスタッペン。

「確かに今日のウエットコンディションは常に不安定な感じで決して楽じゃなかったけどね。でも大丈夫」

「明日はオープニングラップをクリーンに終えて、その後の事はそれから考えるつもりだ。今日みたいにコンディションが変わり続ける可能性があるし、何が起きるか分からないからね」

2021年 F1ベルギーグランプリ決勝レースは、日本時間8月29日(日)22時にスタート。1周7,004mのスパ・フランコルシャンを44周する事でチャンピオンシップを争う。

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