レッドブル・ホンダ、裁定に不服「出走禁止が妥当」対するハミルトンは「スペースを残さなかった」とフェルスタッペンを非難
F1イギリスGP決勝で発生した1周目の大クラッシュの責任の所在について、スチュワードはルイス・ハミルトンにあるとして10秒ペナルティーと2点のペナルティポイントを科す裁定を下したが、当のハミルトンはマックス・フェルスタッペンが「スペースを与えなかった」事が事故に繋がったと考えている。
52周のレースのハイライトはオープニングラップにあった。チャンピオンシップを争うメルセデスとレッドブル・ホンダのドライバーはコーナー毎に一進一退の激しいホイール・トゥ・ホイールを演じた。
その結果、高速のコプス(ターン9)でイン側を差したハミルトンの左フロントとフェルスタッペンの右リアが接触。RB16Bは回転しながらグラベルを乗り越え、速度を保ったままタイヤバリアに激しく衝突し、フェルスタッペンはメディカルセンターでの検査を経て地元病院に搬送された。
レースを終えたハミルトンは、若きオランダ人ドライバーは「常にアグレッシブ」であるため、フェルスタッペンとのバトルの際はいつも以上に「慎重にアプローチするよう心がけている」とした上で「今日は彼と完全に横並びになった。そして彼は僕にスペースを与えなかった」と主張した。
ハミルトンは「同意するかどうかは別として、僕はペナルティーを受け入れて仕事を続けた」と言明こそ控えたが、スチュワードの裁定に不満を抱いているのは疑いない。だが、それはレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表も同じだ。
ホーナーはレース後にチャンネル4とのインタビューの中で「このペナルティはあの愚かな行いに見合ったものではない」「過去の例では、あの手の1周目のアクシデントは次戦のイベント欠場だった」と述べ、レース禁止処分だ妥当との考えを示した。
ミルトンキーンズの指揮官の言う「過去の例」とは今季よりF1からインディカー・シリーズに転向したロマン・グロージャンの一件だろう。
”オープニングラップの狂人”として恐れられていたフランス人ドライバーは、2012年のF1ベルギーGPの1周目に複数台を巻き込む玉突き事故を引き起こした。2番グリッドの小林可夢偉が被害に遭ったあのインシデントだ。この行為によってグロージャンは次戦モンツァの出場停止命令を受ける事になった。
ハミルトンは10秒のみならず2点のペナルティポイントを受ける事になったが、過去12ヶ月間の累積点は4点に留まっており、ホーナーが求めるような1レースの出場停止には程遠い。
レース中もさることながら、チェッカーが振られてなおホーナーの怒りは収まる気配を見せていない。
47歳の元レーシングドライバーは、ハミルトンの1周目の動きは「7度のワールドチャンピオンにあるまじきもの」であり「ライバルを病院送りにしておきながら、どうして彼が勝利の満足感を得られるだろうか」と痛烈に批判した。
またレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコもまた独Skyに対して、ハミルトンの動きは「怠慢かつ危険」そして「無謀」であり、タイムペナルティーではなく「出走停止などの形で罰せられるべき」との考えを示した。