リア?それならフロントもやれよ!レッドブル・ホンダ、”フレキシブル”規制強化巡ってメルセデスに反撃か
”ベンディ・ウイング”騒動を受け国際自動車連盟(FIA)が技術指令書を発行した事で、レッドブル・ホンダはアルファロメオやアルピーヌ、フェラーリと並びリアウイングの変更を余儀なくされる事となった。
従来のシーズンであれば大した問題とはならないであろうが、F1は2021年シーズンより予算上限を設け、フィナンシャル・レギュレーションを新たに導入した。最先端のC/Cコンポジット材により製造されるリアウイング変更に伴う予定外の支出はチームに重くのしかかる。
噂では、レッドブルはウイングに弾力性を持たせるために特殊な仕組みを用いているとされ、RB16Bのリアウイングは通常のカーボン製パーツ以上に高価と見られている。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「我々のように予算上限という課題に直面しているチームにとっては戦略的選択が必要だ。今回の事態による影響は、おそらく50万ドル程度だと思う。よって、予期せぬ支出が他に発生しないように注意を払わねばならない」と述べ、リアウイングの再設計と製造に日本円にして約5,500万円の費用が発生する見通しを示した。
やられたらやり返すのがフォーミュラ1の流儀だ。2013年以来のチャンピオンシップ制覇を目指す英国ミルトンキーンズのチームは、タイトル争いを繰り広げるライバルにダメージを与えるべく、FIAに対してフロントウイングに対する検査の強化を働きかける事を検討しているようだ。
ホーナーは「リアウイングの事が騒がれているが、イモラで撮影された映像を見れば、ライバル車のフロントが柔軟な空力特性を持っている事が明白に分かる」と述べ、FIAの今回の判断、つまりリアウイングに対する監視強化が公平とみなされるのは、フロントウイングを対象リストに追加する事によって初めて成り立つと主張。メルセデスの告発はルールの公平性を求めてのものではなく、単にライバルの競争力を削ぎたいという欺瞞に基づくものだと指摘した。
ホーナー曰く、メルセデスW12のフロントウイングは高速走行下で地面に対して下向きにたわんでいたという。FIAが今後、どう動くのか、はたまた動かないのか注目される。
現在フレキシブル・ボディーワークを採用していないチームもまた、技術指令書の発行によって何らかの影響を受けるのだろうか?
マクラーレンのアドレアス・ザイドル代表は「我々の場合は変更を加える必要がないので影響はない」とコメント。ウィリアムズのヨースト・カピートCEOも「今回の特別なケースでは、我々には何の影響もない」と語った。
”たわむ”ウイングを使っているアルファロメオはさておき、テストの厳格化による影響が皆無のミッドフィールダーにとっては、トップチームとのギャップを縮めるという点で歓迎すべきものと言える。
今回の騒動を両手を広げて歓迎しているのは恐らくマクラーレンだろう。
ウォーキングのチームはフェラーリとコンストラクターズ選手権3位を僅差で争っているが、マッティア・ビノット代表はウイング変更の必要性を認めている。漁夫の利とはまさにこの事。ザイドル代表とザク・ブラウンCEOがガレージ裏で薄笑いを浮かべている光景が目に浮かぶ。