ルノーのニコ・ヒュルケンベルグ、F1スペインGPにて

“無冠”ヒュルケンベルグ、遂にラストラン「ニコの貢献なくして今のルノーはない」とルノー代表

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2019年のアブダビGPは、ニコ・ヒュルケンベルグにとってルノーでのF1ラストランとなる。無冠の帝王と呼ばれたドイツ人ドライバーは、フランス出身のエステバン・オコンにシートを奪われ、今季限りでF1を去る事が濃厚とみられている。

ヒュルケンベルグがエンストンのチームに移籍したのは2017年。ルノーがエンジンサプライヤーとしての活動に終止符を打ち、ワークスとしてF1に復帰した1年後のことだった。今となっては、ほぼ破綻してしまった五カ年計画の先導者としての役割を期待されての起用だった。

ワークス復帰初年度のルノーは、コンストラクター・ランキングで全11チーム中9位と苦しんだものの、ヒュルケンベルグの加入と共に6位へと浮上。2018年にはハースを打ち破って4位の座を手にした。

ルノーは今年、チャンピオンの器の一人と目されるダニエル・リカルドを獲得。残り1レースの現時点でヒュルケンベルグは、対予選成績でリカルドに対して13敗と負け越し、ドライバーズランキングでも20点ビハインドの13位と破れているが、チーム代表のシリル・アビテブールはヒュルケンベルグの貢献を高く評価している。

「我々は3シーズンを過ごした後、ニコに別れを告げる事になる。彼の貢献によって我々は、チームを再建し発展させる事ができた」とシリル・アビテブール。シーズンフィナーレを告げるアブダビでの週末を前に、ヒュルケンベルグとの3年間を振り返った。

「力強い成果を上げてこれたのは、ニコの経験と能力のおかげだ。彼はルノーF1の旅路において重要な役割を果たしてきた。共に過ごしてきたこの期間を、出来るだけ良い結果と共に締め括りたい」

現時点では、ウィリアムズのロバート・クビサの後任が決まっておらず、シートが1つ未確定の状態だが、その席にはカナダ人実業家を父に持つニコラス・ラティフィが座るものとみられており、ヒュルケンベルグはヤス・マリーナ・サーキットでのレースを最後にF1を去る事がほぼ確定している。

出走178回、ポールポジション1回、ファステストラップ2回、表彰台0回。ヒュルケンベルグは今年の母国ドイツGPで表彰台まで”あと一歩”に迫りながらも、得意とするウェット路面に足を取られてクラッシュを喫し、依然として表彰台に上がれていないものの、ルノーとの3シーズンには満足しているようだ。

「ルノーでの3年間は、僕とって思い出深いシーズンになった」とヒュルケンベルグ。「色んな事があったけど、ドライバーとして楽しむ事ができた。何度か最高のリザルトを勝ち取れたし、”後ほんの少しで”といった瞬間を経験できた。その全ての思い出を、僕はこの先も忘れる事はないだろう」

「エンジニアやメカニックを含むチーム全員に感謝の気持ちを伝えたい。誰もが過去61レースで多大な努力をしてくれた。残すはあと1戦。最善の結果を出すために全力を尽くすつもりだ」

ヒュルケンベルグは無冠のままF1を去るだろうか。それとも我々ファンは、ヤス・マリーナで念願のポディウムに上り、有終の美を飾るヒュルケンベルグに拍手を送る事が出来るのだろうか?

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