セバスチャン・ベッテル、計量計破壊の一件で323万円の罰金…グリッド降格を免れる
F1ブラジルGPのスチュワードは、10日のF1ブラジルGP予選で発生したインシデントを受けて、スクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテルに対し2万5,000ユーロ、日本円にして約323万円の罰金を科す裁定を下した。
インテルラゴス・サーキットで行われた予選Q2でベッテルは、ランダムで選ばれた車検に引っかかりマシン計量を行う事となった。だがその際、オフィシャルからのエンジン停止命令を無視。FIAの計量ブリッジ前に設置されていた三角コーンをなぎ倒し、エンジンをかけたまま自走して前を塞ぐオフィシャルを強引に脇に追いやり、計量ブリッジに乗り上げた。
その後ベッテルはエンジンを停止したものの、計量が終わるや否や、本来であればオフィシャルの手でマシンが降ろされるのを待たなければならないところを、計器上でエンジンを起動させ強引に自力で計量器から降りた。その結果、ウェイトブリッジと呼ばれる計測器が破損した。
幸いな事に負傷者は出なかったものの、FIAのテクニカル・ディレクターを務めるジョー・バウアーは予選終了後の現地15時41分に、ベッテルの行為に対して以下の声明を発表。一件は審議の対象となった。
「予選第二セッション時間内の15時27分、計量のために5号車のドライバーを呼び出したところ、ドライバーはエンジンの電源を落とす事を拒否。エンジンが可動している状態で計測器に乗ったため、正確な結果を得ることが困難な状況となった。計量が終了した後、ドライバーは自ら計量器から降りたため、計量器が壊れる事となった」
「ドライバーが指示に従わず、さらに計量手順が損なわれた事を受けて、当問題をスチュワードに報告した」
バウアーからの報告を受けたFIAのスチュワードは、映像証拠とオンボード映像及びピットレーンに設置されたCCTV、そしてエンジンテレメトリーを見直し、ベッテルとチーム代表者を招集し事情聴取を行った。その結果スチュワードは、ベッテルは計量に関するスポーティングレギュレーション(第29条1項a.i.)に違反していないと判断した。
当初はグリッド降格や予選失格処分もあり得るのではと思われていたが、ベッテルがエンジンを停止した事が決定打となり、ペナルティなしに罰金と戒告で事なきを得る事となった。罰金と戒告の根拠は「安全確保を目的としたオフィシャルの指示無視」と発表された。