互いの信頼関係は崩壊…古巣復帰のクビアトは、来季トロロッソ・ホンダで上手くやれるのか?
ダニール・クビアトは、ルーキーとしてチームに新たに加入するアレックス・アルボンと共に、2019シーズンのトロロッソ・ホンダSTR14のステアリングを握る事になる見通しだが、チームとの信頼関係には亀裂が入っており、21戦に及ぶシーズンでチームを牽引していけるかについて疑問符が付く。
スクーデリア・トロロッソのフランツ・トスト代表によれば、クビを言い渡し解雇した昨シーズン、チームとクビアトとは互いに信頼を失った状態であったという。
カート競技で頭角を現した後、2010年にレッドブルの育成ドライバーとなったクビアトは、2011年にフォーミュラ・ルノー2.0 NECで年間2位に輝くと、フォーミュラ・ルノー2.0アルプスとGP3シリーズで立て続けにチャンピオンを獲得。2014年にトロロッソからF1デビューを果たした。
その翌年にはレッドブルへと昇格し順調にキャリアを歩んでいるように思われたが、マックス・フェルスタッペンと交代する形で2016年の4戦を終えたばかりのシーズン序盤にトロロッソへと降格。そして2017年のシーズン途中、アメリカGPで解雇されるに至った。
第一期及び第二期でのトロロッソでのクビアトについて、トスト代表は以下のように説明。信頼という絆は崩れ去り、これ以上共に選手権を戦っていくのは双方にとってデメリットだと判断した結果、解雇に至ったのだという。
「我々は彼を高く評価していたため彼のF1デビューを心から歓迎したものだったが、最終的には期待通りには上手く行かなかった」
「クラッシュは多かったし、マシンには競争力がなく操るのも難しかった。シート状況も不安定でサポートも不十分な時には、難しいシーズンを過ごしてしまいがちだ」
「2017年にクビアトを放出するのはとても難しい決断だったが、我々も彼もお互いに信頼関係を失ってしまったという気持ちがあったから、それが最良の決定だったと考えている」
「ダニールは我々の仕事に凄く満足していたわけではなかったし、我々としても彼のレースには何度か許容し難いものがあった。物事が期待通りに行かない時には、お互いに様々な疑問を抱いてしまうものだ」
クビアトは単にチームを追われただけでなく、レッドブルとの間に結ばれていた契約全てが解消され、レッドブルファミリーからの追放を余儀なくされた。だがその後、フェラーリでの開発ドライバーの職を見つけ、僅か1年という短期間で再びF1でのレースポジションを確保した。
一度は互いに信用を失った者同士が再び手を組み、共に手を携えて上手くやれるだろうか?F1は個人戦ではなくチーム戦。ましてやチームメイトは経験不足のルーキー。クビアトにはチームを駆り立てていく力が求められる。
「クビアトが持つ何かが、F1と共鳴しているのだろう。彼は再びチャンスを手に入れてみせた。私は彼がこのチャンスを活かせる事を強く願っている」とトスト代表。
「彼は本当に速いドライバーだしF1に相応しい男だ。この1年間の休息が上手く作用して、彼が持つ真の才能とスピードを証明して欲しいと思っている」
「ちゃんとしたマシンを提供できれば、クビアトは良い結果を出してくれるはずだ」