日産e.dams、アレックス・アルボン放出にGOサイン。ハートレーのトロロッソ・ホンダ残留は危機的状況
トロロッソ・ホンダは来シーズンのダニール・クビアトのチームメイトとして、フォーミュラEに参戦する日産e.damsのアレックス・アルボン(アレクサンダー・アルボン)に白羽の矢を立て引き抜きを模索。交渉がまとまる可能性が高まっている。
日産e.damsは9月20日、セバスチャン・ブエミのチームメイトとしてアルボンと3年契約を締結した事を発表。アルボンは12月の開幕戦に向けてバレンシア合同公式テストに参加する予定であったが、会場に足を運んでいたもののクルマには乗らず、ブエミだけが一人でテストを担当。最終日になってようやくアルボンの代わりにオリバー・ローランドがステアリングを握った。
アルボンは以前、現在トロロッソ・ホンダのドライバーを務めるブレンドン・ハートレーと同じ様に、レッドブル・ジュニア・ドライバーの一人であったものの2012年限りで放出され、以降大きな後ろ盾を持たずに、フォーミュラ・ルノーやFIA-F3選手権、GP3シリーズへのステップアップを重ね、今年はDAMSからFIA-F2選手権に参戦している。
日産e.damsのチーム代表を務めるジャンポール・ドリオはFormulaSpayに対して、トロロッソ・ホンダ側がアルボン獲得に向けてアプローチしてきた事を明かした。
「まずはアルボンが、その後にヘルムート・マルコが日本から私を訪ねてきた。既に物事が動いている事は分かっていたから、我々としては前に進み解決策を見出す事にした」とドリオ。
ドリオは日産の上層部がトロロッソからの引き抜き要求に不満を抱いている事を認めつつも、アルボンを契約によって束縛しない方針を示した。つまり、日産e.damsの基本方針としてはアルボンの放出にGOサインを出しているという事だ。
「自分のチームにいる22歳の若いドライバーがF1へのステップアップのチャンスを掴もうとしているんだ。どうすることが彼のためになるかは誰にだって分かる。それは彼の人生なんだからね」
「我々には契約があるから、それを盾に戦うことが出来るのは承知している。それはかなり明快な事だ。でも、将来ある若者のキャリアを傷付ける事などできない」
当のアルボンはF1デビューを望んでおり、今年のF2選手権でドライバー・ラインキング5位以上を獲得できれば、F1参戦に必要となるスーパーライセンスの発給条件を満たす事になる。アルボンは現在最終戦アブダビを残して211ポイントを獲得し、来季マクラーレンでのデビューが確定済みのランド・ノリスを抑え2位につけている。
ハートレーは21日のF1アメリカGPでキャリアベストとなる9位入賞を果たし、2019シーズンへのF1残留に自信を示したものの、来季シートを巡る情勢はハートレーにとって好ましくない方向に進んでいる。
ただし、このプロセスにルノーが絡んでくると話が複雑化する恐れがある。日産はルノーと資本提携しており、近い将来に経営統合との噂すらある間柄だ。ルノーとレッドブルとは来シーズン、直接的なライバル関係になる可能性があり、トロロッソの活躍を妨害する事で、間接的に来季レッドブルの戦闘力を削げる余地がある。
来シーズンのトロロッソとレッドブルは、ホンダエンジンだけでなく、ギアボックスを含めたリアエンド広範のコンポーネントを共有。技術的なシナジー効果を高める取り組みを行う予定となっている。