ダニエル・リカルド、レッドブルを離脱しルノーへ移籍「キャリア最高に難しい決断だった」
F1に参戦するアストンマーチン・レッドブル・レーシング(Aston Martin Red Bull Racing)は2018年8月3日、レギュラードライバーを努めるダニエル・リカルドのチーム離脱を発表。残留が囁かれていたものの事態は一転、ルノー・スポールF1チームへの移籍がアナウンスされた。
リカルドはニコ・ヒュルケンベルグのチームメイトとして、フランスの自動車メーカーと共に初のF1タイトル獲得を目指す。契約は現行レギュレーション最終年の2020年までの2年間。
今年29歳となるリカルドは2011年にHRTでF1デビューを果たし、2014年にトロロッソからレッドブルへと昇格。チームメイトのマックス・フェルスタッペンは昨年末に2020年までの複数年契約に合意し、残留を決めていたものの、リカルドはF1タイトルに挑戦できるだけの競争力のあるマシンを求め、フェラーリやメルセデスへの移籍を検討していた。
「僕のキャリアの中で最も難しい決断の1つだった」とリカルド。「気持ちを新たに、次の挑戦に挑む時が来たって思ったんだ。ルノーがトップ争いに返り咲くためにはまた多くハードルが待ち受けてる事はちゃんと理解してるけど、この2年間でルノーが示した進歩に感銘を受けたんだ。それに、彼らは参戦する度にいずれかの時点で勝利を収めてきた事も分かってる。コースの内外を問わず、その旅路に役立てれば嬉しい」
ルノーのチーム代表を務めるシリル・アビテブールはリカルドの加入を歓迎する声明を発表。チームの将来を信じてくれたリカルドの想いに応えるべく、ベストなマシンを用意していく心づもりである事を宣言した。
「ダニエルとサインしたのは、我々の決意が揺るぎないものである事の証だ。ルノーはF1での先頭争いに向かって進歩を加速させていく。ダニエルの才能とカリスマ性は疑いようのないものであり、チームにとってボーナスと言える。ダニエルの信頼に報いるためにも、我々は出来る限り最善のマシンを提供しなければならない。進化し続ける我々のチームへ加入を、誇りと謙虚さをもって歓迎する」
強力なチームメイトを迎える事になるヒュルケンベルグもリカルドの加入を歓迎。「よぅ兄弟、ファミリーにようこそ。来年、一緒に”狩り”が出来るのを楽しみにしてるよ!」
リカルドをF1でデビューさせトップドライバーとして育て上げてきたレッドブルは、ライバルチームへの移籍という決断を尊重するとのコメントを発表した。「我々は、レッドブルを去るというダニエルの決断を全面的に尊重しているし、彼の将来の成功を祈っている」とクリスチャン・ホーナー代表。「2014年にチームに加入して以来、彼が尽くしてくれた献身的な働きと役割に感謝している。一番の思い出は、共に達成した7回の勝利と29回の表彰台獲得だ」
現時点ではリカルドの後任は不明であるが、ホーナーはあらゆる選択肢を慎重に評価した上でフェルスタッペンのチームメイトを決定するという。とは言え、レッドブル系ドライバーが最有力候補であることに疑いはなく、ルノーへレンタル移籍中のカルロス・サインツか、トロロッソ・ホンダで目覚ましい活躍を見せているピエール・ガスリーが有力視される。
レッドブルは遡ること2ヶ月前の6月19日、2019年からの2年間に渡ってホンダ製F1パワーユニットの供給を受ける事を発表。レッドブル・ホンダとして2019年と2020年シーズンのF1でチャンピオンシップに挑む事を明らかにしていたが、リカルドはワークス復帰するレッドブル・ホンダよりもルノーワークスの将来の可能性に賭けた。
懸案事項であった来季以降のパワーユニットが決定した事でストーブリーグが加熱。フェルナンド・アロンソのF1離脱に備えて、マクラーレンがリカルドに対して移籍をオファー、年俸22億1200万円を提示しているとの報道がなされた。リカルドは「そんな金額じゃ足りない!」とジョークを飛ばし報道は事実ではないとしながらも、潜在的にはマクラーレンへの移籍もあり得るとの認識を示していた。
リカルドは今年、第3戦中国GPと第6戦モナコGPで優勝。12戦を終えて118ポイントを獲得しドライバーズタイトルで5位につけている。