ウォルフ、戦略ミスに激怒・深謝「あまりに愚か、弁解の余地がない」ハミルトンのメルセデス最終予選Q1敗退を受け
メルセデスのトト・ウォルフ代表は、ルイス・ハミルトンがF1アブダビGP予選でQ1敗退を喫した原因について、「あまりに愚かで弁解の余地がない」戦略ミスがあったと認め、激しい怒りを露わにするとともに深謝した。これは、7度のF1ワールドチャンピオンがシルバーアローで走る最後の予選だった。
コースインを遅らせたことでメルセデスは、ハミルトンと僚友ジョージ・ラッセルがQ1終盤にトラフィックに巻き込まれる状況を招いた。ハミルトンは最終ラップでコース上のスペースを求める他車との混雑に巻き込まれ、準備ラップが大きく損なわれた。
さらに、ターン14でハミルトンに道を譲ったケビン・マグヌッセン(ハース)がイン側に避けた際、ボラードに接触するアクシデントが発生。この衝撃でボラードが路面から外れてコースに転がり出た。
不運にも、そのタイミングでコーナーを通過したハミルトンは、フロアにボラードを引っ掛ける形となり、その状態でフライングラップを走行することを余儀なくされた。この影響でラップは大きく妨げられ、ハミルトンはQ2進出に0.093秒届かず、18番手に終わった。
予選を経てウォルフは、適切なタイミングでコースに送り出せなかったのはチームの「愚かなミス」だったと認め、深い謝意を示した。
「ルイス、そして彼のために素晴らしい最後を迎えようと懸命に働いてくれたチーム全員に謝罪したい。来年のための実験を兼ねた今回のセットアップでは、間違いなく彼の方が速かったのに、我々は彼を完全に失望させてしまった」とウォルフは語った。
「早めにアタックを開始しなかったのは愚かなミスだった。弁解の余地がない、許されないミスだった。これほど落胆することはほとんどない。彼との最近のレースでの出来事を象徴するような出来事だったのかもしれないが、今回はその中でも最悪だった。あまりに愚かだ」
「ボラードの件がなければ上手くいったかもしれないが、Q1であれほどのリスクを取るべきではない。我々には十分な速さがあったのだから」
「F1史上最も偉大で価値あるレーシングドライバーが、我々のミスのせいでQ1で敗退してしまった。素人じみたミスだ。これが、彼との素晴らしい歴史をすべて台無しにするわけではないが、ただただ彼に申し訳ない」
ハミルトンはラスベガスGPで2位に入る健闘を見せたものの、ここ数戦は厳しい結果が続いていた。今回のミスは、メルセデスでの最後レースを成功裏に終えるチャンスを奪った形となった。
ハミルトンは予選を終えて「これまで以上に毎日、そして”今この瞬間”に集中しようとしてきた。これがシルバーアローで走る最後のレースになるからさ」と語った。
「これまでの全ての勝利、人生を通じての成功を思い返しながら、この瞬間を噛みしめようとしている」
「今週末はチームのみんなのために表彰台に上がりたかったけど、うまくいかなかった」
シャルル・ルクレール(フェラーリ)とフランコ・コラピント(ウィリアムズ)に降格ペナルティが科されたことで、ハミルトンは日曜のレースを16番グリッドからスタートする。
2024年F1アブダビGP予選では、ランド・ノリスがポールポジションを獲得。2番手にオスカー・ピアストリが続き、マクラーレンが最前列を独占した。3番手にはカルロス・サインツ(フェラーリ)が続いた。
決勝レースは日本時間12月8日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周5,281mのヤス・マリーナ・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。