チーム代表者会見に出席したメルセデスのトト・ウォルフ代表、2023年9月16日(土) F1シンガポールGP(マリーナベイ市街地コース)
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

メルセデスは失格のリスクを取り続ける、とトト・ウォルフ…ハミルトン表彰台剥奪を経てなお

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メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、勝利のためにはルイス・ハミルトンが失格処分を受けたアメリカGPの二の舞になるリスクも厭わないとの考えを示した。

先週末のアメリカGPでは1994年以来となる、プランクの摩耗を理由とする失格処分が下された。技術レギュレーションはプランクの摩耗限界を9mmと定めている。

2位フィニッシュしたハミルトンは表彰台を剥奪され、同じ理由によりシャルル・ルクレール(フェラーリ)も6位を失った。両チームはこれに意義を申し立てず、裁定を受け入れた。

メルセデスの指揮官によると、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)での予選を経てチームは既に、44号車W14が「限界」に達している可能性を把握していた。

しかしながらスプリント・フォーマットが採用される週末は、初日予選後にクルマがパルクフェルメ下に置かれるため、2日目以降に何か問題が発生したとしても手の施しようがない。

ウォルフはエルマノス・ロドリゲス・サーキットで英「Sky Sports」のインタビューに応じ、「スプリントレースで問題なのは、クルマがパルクフェルメに入ってしまい、それ以上、調整できない点だ」と語った。

「土曜日を迎えるにあたり、これは限界かもしれないが、おそらく少しはマージンがあるだろうと考えていた」

パフォーマンスを犠牲にしてでも車高を上げていれば、2位フィニッシュは叶わなずとも失格は避けられたかもしれない。

だが、ウォルフは「25秒遅れの3位に終わるより、私は勝利を目指して失格になる方を選ぶだろう。週末のあらゆる日々において失格を選ぶ」と述べ、失格を恐れて保守的なセットアップを採るよりはトップチェッカーを目指す方針を明らかにした。

2台の失格を受けてソーシャルメディアや一部メディアでは、無作為方式を改め全車検査体制を整えるべきと言った声が上がった。

オースティンでのレース後にプランクの摩耗検査が行われたのは先の2名に加えてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランド・ノリス(マクラーレン)の計4台のみで、その内の2台で違反が確認された。

ハミルトンは「たった4台のクルマしか検査しないなんてクレイジーだ」「それに…僕が聞いた情報だと、他にも多くのクルマが違反していたらしい。でも彼らは逃れた。兎に角、めちゃくちゃだよ!」と述べ、FIAの裁定はF1にとって「大きなマイナスだ」と付け加えた。

潜在的に、3台以上がルールに抵触していたとするハミルトンの見解についてウォルフは「それは我々が他のチームから得たフィードバックだ。彼らはドライバー同士、互いに話し合っている。チーム幹部レベルにおいてもそうだ。私は、おそらくはもっと多くのチームが9ミリを下回っていたと思う」と述べ同意した。

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