チーム代表記者会見でマイクを手に質問に答えるトト・ウォルフ(メルセデス代表)、2026年3月6日(金) F1オーストラリアGPフリー走行(アルバート・パーク・サーキット)
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「ジョージのエンジンを壊すボタン?」ウォルフが陰謀論に“痛烈”な一撃。84点差でも貫く公平性、その原点

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メルセデスのチーム代表トト・ウォルフは2026年F1第17戦シンガポールGPで、タイトル争いにおいてチームがアンドレア・キミ・アントネッリをジョージ・ラッセルよりも優遇していると示唆する人々を「頭が空っぽ」と評し、「F1じゃなく、テレタビーズでも見てればいい」と一蹴した。

シーズン7戦を残した現段階で、アントネッリはラッセルに84ポイント差をつけてドライバーズ選手権をリード。F1史上最年少での王座獲得に近づく一方、ラッセル側で相次ぐ技術的なトラブルやチームの判断を巡り、アントネッリを優先しているのではないかとの声が一部で上がっている。

「そんなことを考える連中は、誰であれ頭が空っぽだ。完全にばかげている」とウォルフは言い放った。

ウォルフ、エコヒイキ説を一蹴

ヘルメットを着用しグローブを手にピットエリアを歩くリタイア後のジョージ・ラッセル(メルセデス)、2026年10月4日(日) F1バーレーンGP決勝(セパン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ヘルメットを着用しグローブを手にピットエリアを歩くリタイア後のジョージ・ラッセル(メルセデス)、2026年10月4日(日) F1バーレーンGP決勝(セパン・インターナショナル・サーキット)

ラッセルはセパンでの決勝終盤にエンジントラブルに見舞われ、リタイヤを余儀なくされた。その結果、シンガポールGPに先立って計画外のパワーユニット(PU)交換が必要となり、決勝では40グリッド降格を受けて最後尾からスタートする。

ウォルフは、コンストラクターズ選手権を争うチームが一方のドライバーを意図的に不利に扱うとの主張に、皮肉を交えて反論した。

「以前にもルイス(ハミルトン)のファンが同じようなことを言っていた。私は文字通り、内部で何が起きているのか全部把握している」

「私が『ジョージのエンジンを今すぐ壊すボタン』を持っているとでも思っているのか? コンストラクターズ選手権を争うなか、ずっと両方のドライバーに同じマシンを与えるという考えでやってきた我々が、一方をもう一方より不利に扱っているとでも言うのか?」

「まあ、今のソーシャルメディアというのは、そういうものなのかもしれない。みんな画面の後ろに隠れて、そこから好き放題に攻撃する。かなりの分断が起きている」

「時々、彼らが何を書いているのか読むけど、笑えてくるよ。チームや私を罵ってくるそういう連中は、実際のところ私の娯楽にかなり貢献してくれている。どうやら私は“サタン”らしいしね」

そのうえで、幼児向けテレビ番組『テレタビーズ』に言及し、こう続けた。

「こういうことを言い出す人たちには、理解も敬意もまったく持てない。F1じゃなく、テレタビーズでも見てればいい。あるいは、ミッキーマウスか何かをね」

バクー市街地コースを走行するアンドレア・キミ・アントネッリのメルセデスのW17(左)と、セパン・インターナショナル・サーキットを走行するジョージ・ラッセルのアップデート版W17(右)の比較、2026年F1アゼルバイジャンGP/バーレーンGPCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

バクー市街地コースを走行するアンドレア・キミ・アントネッリのメルセデスのW17(左)と、セパン・インターナショナル・サーキットを走行するジョージ・ラッセルのアップデート版W17(右)の比較、2026年F1アゼルバイジャンGP/バーレーンGP

シンガポールでメルセデスは、最新アップグレードの効果を検証するため、W17の仕様を2台で分けている。ラッセルは旧パッケージに戻し、アントネッリは最新パッケージを継続使用するとともに、新型フロントウイングを搭載している。

この選択についてウォルフは、「どちらが速いのか、我々には分かっていない。だからこそ『じゃあ実際に確かめてみよう』となったわけで、そこに大げさな政治的思惑なんてものはない」と説明した。

現時点でその結論は出ていないが、ラッセルは10月9日(金)に行われた週末唯一のフリー走行1回目(FP1)でトップタイムを記録。続くスプリント予選でも2番手となり、これまでのところアントネッリを上回っている。

84点差でも「二人への機会は平等」

ウォルフは、アントネッリが11歳、ラッセルが17歳の頃からメルセデスと関わってきたことに触れ、両者との長く続く友好的な関係を強調した。若くしてタイトルを争うアントネッリの成長を喜ぶとともに、ラッセルとはサーキット外でも一緒に過ごし、ともにコーヒーを飲み、ジムに通うほど親しいと指摘した。

「だからこそ、人間関係がどういうものか何も分かっていない頭のおかしな連中に、こんなことを言われるのは本当に腹が立つ」とウォルフは述べた。

「F1に入って以来、ウィリアムズにいた頃からずっと、私はドライバーに対してできる限り公平で、できる限りオープンであろうとしてきた」

ジョージ・ラッセル(メルセデス)と話をするメルセデスのチーム代表トト・ウォルフ、2025年F1サウジアラビアGPCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ジョージ・ラッセル(メルセデス)と話をするメルセデスのチーム代表トト・ウォルフ、2025年F1サウジアラビアGP

「この話は以前にもしたことがあるが、私がまだ完全な新人だった頃、あるレースのグリッドでアラン・プロストに偶然会って、『興味本位なんだけど、どうしてセナとの関係はあそこまで悪くなったのか?』と聞いたんだ」

「すると彼は、『チームが何を考えているのか、我々にはまったく分からなかったからだ』と言ったんだ。ある時は自分がチームの一番のお気に入りだと感じるのに、2カ月もすれば、今度は政治的な流れが自分に不利な方向へ向いているように感じる。自分は本当は必要とされていないんじゃないか、そう感じるような場面がいろいろあった、とね」

「だからこそ私は、それを自分の課題として受け止めて、常にバランスを保つようにしてきた。もちろん、当時ルイスとニコ[ロズベルグ]を相手にそれをやるのは簡単じゃなかった」

「人々が何を考えようとそれは自由だが、この点での誠実さは私にとって本当に重要なものだし、ドライバーたちもそれを分かってくれている」

「純粋に数学的な確率で見れば、今はキミがタイトルを獲る方が現実的だとしても、それでもジョージには同じチャンスを与える。それが重要なんだ」

「これが、私が加わった2013年から、このチームが貫いてきた理念と誠実さだ。我々は今後もそれを貫く。あとは、人々が何を考えようと構わない」

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