ウィリアムズF1、元スポンサー「ROKiT」から200億円の損害賠償請求訴訟
金銭および営業上の評判に損害を被った等としてROKiTは3月29日、ウィリアムズに対して約1億4900万ドル、日本円にして約200億円の損害賠償を求める訴訟を米国フロリダ州南部地区連邦地方裁判所に起こした。
ROKiTは、2019年のF1タイトルスポンサー契約の合意に際してウィリアムズが、競争力のあるマシンを用意すると確約しながらも、それが叶わない事を知っていたと主張。チームだけでなく元経営陣のクレア・ウィリアムズ元副チーム代表やマイク・オドリスコル元CEO、ダグ・ラファティ元最高財務責任者を被告として提訴した。
ROKiTは2019年1月にウィリアムズと3年契約を締結し、同年途中に2年の延長に合意するも、新型コロナによるパンデミックの影響でシーズン開幕が遅れた2020年5月に突如、チームから契約解除が発表された。
これは、グランプリが行われていない事を理由にROKiTがスポンサー料の支払いを拒否した事に端を発するもので、契約上の義務は果たしたとしてウィリアムズは契約不履行を主張した。
契約違反を訴えカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所で争われた裁判ではウィリアムズが勝訴。2022年12月、ROKiTに2,620万ポンド(約43億5,000万円)の支払いが命じられた。
だがRoKiTは、ウィリアムズが「重大な事実」を「不正に隠蔽」していた事を裁判所は知らなかったと詐欺被害を訴え、新たな訴状を叩きつけた。同社の主張によればウィリアムズの旧経営陣は、約束した水準のパフォーマンスが発揮できないと知りながらも、その事実を隠していた。
訴状の中でRoKiTは、2019年の新車「FW42」についてウィリアムズが同年1月18日前後、上位争いのための「絶好のチャンス」があり、2018年型F1マシンよりも「遅い事はないだろう」と約束したと説明した。
この年のウィリアムズは「FW42」の開発の遅れからプレシーズンテストに2日半遅れで参加。シーズンを通して僅か1ポイントしか獲得できず、コンストラクターズ選手権最下位に終わった。
RoKiTはまた「十分な開発資金がウィリアムズ・エンジニアリングにないという事実を意図的かつ不正に隠蔽した」「スポンサーシップ契約の対象となるF1マシンに競争力がない、あるいは少なくともリーダーボードの上位に位置する可能性がないことを知っていたため、その事実を」同社に対して「積極的に隠蔽した」とも述べた。
2020年8月、財政難によりウィリアムズはドリルトン・キャピタルへと売却され、クレアを含む経営陣はチームを去った。売却価格は1億5,200万ユーロ(約220億円)だった。