優勝したトヨタ7号車の小林可夢偉、WEC2019-2020年開幕戦 シルバーストーン4時間決勝
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WECシルバーストン4時間 決勝:トヨタ1-2、ポールの7号車が優勝「完璧なシーズンスタート」と可夢偉

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WEC世界耐久選手権の2019-2020年シーズン開幕シルバーストン4時間の決勝が1日に行われ、TOYOTA GAZOO RacingのTS050 HYBRID 7号車がポール・トゥ・ウイン。2位に8号車が続きトヨタが初戦で1-2フィニッシュを果たし、昨シーズンからの連勝を6に伸ばした。

地元英国出身のマイク・コンウェイと小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名が駆る7号車は、 改定レギュレーションによって車両がライバルより99kg重いながらも予選でポールを獲得。決勝ではセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴とブレンドン・ハートレーの8号車と首位争いを展開し、5万人近い観衆の前で熱い戦いを繰り広げた。

「本当に嬉しい結果です」と小林可夢偉。「完璧なシーズンスタートを切ることができました。僕自身のスティントは雨に見舞われたため大変でした。降雨の時間は短いのではないかと考えてスリックタイヤのまま走り続けましたが、予想以上に雨は激しく、かつ長く降ることとなり、ピットインせざるを得ませんでした」

「8号車とは、接近戦ながらフェアなバトルが出来ましたし、チーム全員が素晴らしい仕事をしてくれました。この週末を通してTS050 HYBRIDは最高の仕上がりでしたし、ペースも良かったので、次戦富士が楽しみです」

表彰台に上がるTOYOTA GAZOO Racing、WEC2019-2020年開幕戦 シルバーストン4時間 決勝にて

7号車のスタートを担当したのはコンウェイ。レース序盤は8号車のブエミを抑えてトップを守るも、不運なタイミングでのフルコースイエローによって、一時はレベリオンより後退した。

スタート開始1時間半、シルバーストンは急な雨に見舞われた。予定外のピットインを嫌ったトヨタ勢はスリックタイヤのまま走行を続けていたものの、急速にヘビーウェットへと変貌する路面に対応できず、その後ウェットタイヤへと交換した。

8号車のハートレーはワイパーのトラブルに見舞われ、修理で数秒失いながらも首位をキープ。だが、レースが折り返す頃には、後続の7号車小林可夢偉にオーバーテイクされ、首位が交代した。ハートレーは「ウェットコンディションとなった最初のスティントで、濡れた路面をスリックタイヤで、かつワイパー無しで走ったことは興味深かったよ。今日の自分のパフォーマンスには満足してる」と語った。

TS050 HYBRID 8号車、WEC2019-2020年開幕戦 シルバーストン4時間 決勝にて

レース後半戦では、セーフティカーの導入によってトップ3台が接近。だが、リスタートと同時に2台のTS050 HYBRIDは1-2体制を維持しながら、徐々に3位レベリオン3号車との差を拡大。その後、3号車がペナルティを受けた事で、トヨタは3位以下に対して1分以上のマージンを作った。

終盤にかけては、7号車の小林可夢偉と8号車のハートレーが、幾度となくポジションを入れ替えながらの首位バトルを展開。そして最後の1時間、7号車がロペス、8号車が中嶋一貴へと交代してからも、2台は僅差の1-2体制で周回を重ねた。

首位で7号車のバトンを受け取ったロペスは、周回遅れを交わしながらその座を守りきりトップチェッカー。最後まで猛追を見せた8号車の中嶋一貴は、惜しくも1.9秒届かず2位。TOYOTA GAZOO Racingとしては、2019-2020年シーズンの開幕戦を1-2フィニッシュという最高の結果で飾った形となった。

次戦は、来月にチームの母国で行われる富士。今大会シルバーストンとは異なり、伝統的な6時間のレースとなる。トヨタのホームレースでの成績は圧倒的で、過去7年間で6勝を達成。だが、今季より導入された新たなレギュレーションでは、前戦までに獲得したポイントに応じてハンデが科される事となっており、富士でのトヨタはライバル勢に比べてペースダウンを強いられる事になる。更に、今回優勝した7号車は、8号車よりも重いハンデを科される。

村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表は「サクセス・ハンディキャップが初めて導入される次戦の富士ではさらなる激戦が期待されます。ファンの皆様には、今後激しさを増すLMP1のレースを、シーズンを通してますます楽しんでいただければと思います」と語った。

WECシルバーストン4時間 LMP1決勝結果

順位 No. ドライバー チーム タイム ギャップ
1 7 マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ホセ・マリア・ロペス
TOYOTA GAZOO Racing
トヨタ TS050 HYBRID
129
2 8 セバスチャン・ブエミ
中嶋一貴
ブレンドン・ハートレー
TOYOTA GAZOO Racing
トヨタ TS050 HYBRID
129 1.901
3 3 ナタナエル・ベルトン
ピポ・デラーニ
ロイック・デュバル
レベリオン・レーシング
レベリオンR13・ギブソン
128 1 Lap
4 5 チャーリー・ロバートソン
ベン・ハンリー
イゴール・オルトツェフ
チームLNT
ジネッタG60-LT-P1・AER
124 5 Laps
5 1 ブルーノ・セナ
グスタボ・メネゼス
ノルマン・ナト
レベリオン・レーシング
レベリオンR13・ギブソン
123 6 Laps
6 6 マイク・シンプソン
オリバー・ジャービス
ガイ・スミス
チームLNT
ジネッタG60-LT-P1・AER
112 17 Laps

豊田章男代表取締役社のコメント

FIA世界耐久選手権(WEC)2019-2020年シーズンを6人のドライバーとチームメンバー達がワンツーフィニッシュという最高の形でスタートを切ってくれました。しかし、これは決して簡単にたどり着いた結果ではありませんでした。

金曜日のフリー走行で7号車は大きなダメージを受け、モノコックを交換するほどの大掛かりな修理をしなければなりませんでした。6月のル・マンでも同じようなことが起きたことを思い出しました。短時間で修理しなければならないという厳しい環境の中、ル・マンではミスが発生し、それが原因で7号車は、24時間の最後の最後でレースを失いました。メカニック達の頭にも、そのことがよぎったと思います。

しかし、彼らは、冷静に作業をし、ドライバー達がゴールまで安心して走らせられるクルマに仕上げてくれました。悔しさを糧に改善を積み重ねてきてくれたからだと思います。7号車のメカニック達ありがとう。こうして、毎戦、学びながら成長を続けているメンバーを頼もしく思います。

可夢偉、ホセ、シーズン初戦の優勝をありがとう。マイクは母国での優勝、いつも以上の喜びがあると思います。本当におめでとう。

ファンの皆様も応援ありがとうございました。次戦は、我々のチームの母国日本での戦いです。引き続き、熱い応援を、よろしくお願いいたします!