WECトヨタ、王者として挑む2019-2020年シーズン「ル・マン3連覇が最大の目標」
TOYOTA GAZOO Racingは2018-2019年「スーパーシーズン」として行われた昨シーズンのWEC世界耐久選手権で、2度のル・マン24時間レースで1-2フィニッシュを飾り、チームとドライバーの両シリーズチャンピオンを獲得。トヨタ・モータースポーツの歴史に名を刻んだ最高出力1000馬力を誇るTS050HYBRIDの性能を更に改善させ、9月1日に開幕戦を迎える2019-2020年シーズンに臨む。
目標とするのはシリーズチャンピオン防衛とル・マン24時間レースの3連覇。WECの2019-2020年シーズンは全8戦で構成され、今週のスペイン・バルセロナで行われるプロローグテストで公式に幕を開ける。LMP1ハイブリッド規定最後の年となるため、今季は2016年以来、WECの歴史に名を刻んだTS050 HYBRIDにとってのラストシーズンとなる。
© TOYOTA MOTOR CORPORATION / 2019-2020年シーズン型 トヨタTS050 HYBRID
村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表は「TS050 HYBRIDは多くの勝利を収めましたが、博物館に行く前に、それをさらに積み重ねることが出来れば、と願っています」と語り、次のように続けた。
「チームの最大の目標はル・マンの3連覇を果たすことです。それが2015年より、設計、開発、製造、及びレース運営に関わってきたチーム全員への贈り物になると思っています。TS050 HYBRIDと共にチームは成長して強くなり、今は活力に満ちています。次世代ハイパーカーの準備も並行して進めていますが、前年の覇者として臨む今シーズンも挑戦を続け、皆様に良いレースをお見せしたいと思っています」
2台体制のドライバーラインナップは、7号車は昨年と変わらずマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名。8号車は、世界チャンピオンとなったセバスチャン・ブエミと中嶋一貴の2人に、フェルナンド・アロンソに代わって、2017年のル・マン勝者でありWECチャンピオンでもある、元トロロッソ・ホンダのブレンドン・ハートレーが新たに加入する。
「ル・マンをただ見ているだけだったのは少し辛かったけど、チームに溶け込むための良い機会になった」とハートレー。新シーズンに先駆けて、前戦ルマンからチームに帯同した。「僕は初めて出場した2012年からル・マンが大好きだけど、2年間出場出来なかったから、戻れるのを心待ちにしていた」
「ル・マン以来、TS050 HYBRIDでの初めての本格的な実走行テストを行った。既にマシンには慣れてきたし、更なるスピードアップに挑んでいる。僕は常に、得られた結果よりも、自分がどれだけベストを尽くしたか、を重視してきた。もちろんシリーズチャンピオンやル・マンで勝利できたら最高だね」
8号車の中嶋一貴にとっては、ワールドチャンピオンとして、7号車や他のライバルチームからタイトルを防衛する立場でシーズンに挑む事になる。
「世界チャンピオンとしてシーズンを迎えるのは素晴らしい気分ですね」と中嶋一貴は語る。「目標はTS050 HYBRIDの最後のシーズンにタイトルを防衛することです。TS050 HYBRIDで長きにわたってレースを戦ってきて、多くの特別な瞬間を味わってきただけに、別れは残念です」
「ですがそれと同時に、新しいレースカーでの挑戦はとてもエキサイティングなものになるでしょう。WECを新しいハイパーカーで戦う事を今から楽しみにしています」
「今年も簡単なシーズンとはならないでしょうね。7号車は最強のライバルとして立ちはだかるでしょうし、他のLMP1車両からの挑戦も予想されるので、エキサイティングなシーズンになるのは間違いありません」
新シーズンのTS050 HYBRIDは、空力パッケージの変更を除いて大きな変更は行われない。テクニカルディレクターを務めるパスカル・バセロンは次のように説明する。
「今季向けのTS050 HYBRIDに対しては、昨シーズンから大きな変更は行なっていない。2016年のTS050 HYBRIDデビュー以来、毎シーズン、開発を進めてきたが、今シーズンへの変更は細かな部分の最適化とさらなる信頼性向上だ」
「目に見える変更は空力パッケージで、それ以外は信頼性向上のための細かい変更に留まっている。昨シーズンのTS050 HYBRIDは最速だったが、ライバル達も開発を続けており、2018年と2019年のル・マンを比べると車両性能が大きく向上した事が読み取れる。ライバルたちの卓越した開発能力を考えると、更に性能が向上することは間違いない。そのため、我々も開発を止めるわけにはいかないのだ」
TS050 HYBRIDにとって最後のシーズンは、開幕戦となる9月1日のシルバーストン4時間レースを皮切りに4大陸を巡る、全8戦、計66時間の戦いとなる。シリーズは、富士スピードウェイ、アメリカのセブリング、ベルギーのスパ・フランコルシャン、といった伝統のコースを経て、来年の6月13日~14日のル・マン24時間レースで最終戦を迎える。