2022年シーズンの初戦、全10チームの次世代F1マシンが初めて全力でぶつかりあったバーレーンGPでのポール争いのステージに、昨年王者のメルセデスの姿はなかった。

最速頂上決戦はレッドブルとフェラーリの一騎打ちとなり、シャルル・ルクレールが0.123秒という僅かの差でマックス・フェルスタッペンを下して今季初ポールシッターの称号を手にした。3番手にはカルロス・サインツが続いた。

”ゼロポッド”を導入したプレシーズンテストの段階から苦しみ続けてきたポーパシング対策として、メルセデスは今週末に新しいスペックのフロアを投入するも期待された成果は得られず、W13は高速の切り返しで不安定な挙動を見せ、ストレートでは相変わらず激しい縦揺れに見舞われていた。

問題を抱えている事はタイムシートではなくクルマを見れば明らかで、ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルは口を揃えて優勝争い脱落を宣言し「みんなはブラフをかけてると思ってるようだけど、そんな事しちゃいない」と否定するも、誰もその言葉を真に受けようとはしなかった。

予選後の会見の中でメルセデスとの混戦を予想していたか？と問われたルクレールは、”日頃の行い”が行いだけに、予選になるまではシルバーアローに疑心暗鬼だったと答えた。

「僕個人としては、FP3が終わった時点ではまだ疑っていた。彼らが悠々自適じゃなかったのは明らかだったけど、例年彼らは結構なゲインを隠し持っていたからね」

「まあ実際には、何も隠していなかったわけだけど。ここ数年より苦労してるみたいだけど、僕は彼らが戦いに加わってくるだろうと今も予想してる」

「まぁ明日のレースに関しては今日の彼らのペース的に優勝争いに絡んでくるとは思えないけど、どうなるだろうね」

フェルスタッペンも昨年のタイトル争いのライバルが苦戦している事は間違いないとしつつも、W13のポテンシャルとブラックリーのチームの開発力を踏まえれば、全く安心は出来ないと警鐘を鳴らした。

「そうだね、彼らがバウンシングに苦しんでるのは明らかだね。クルマはそんなにドライブしやすいものじゃなさそうだ。少しシッチャカメッチャカに見える」

「真っ当なラップを走れる時もあれば、バランスをまとめ上げるのが難しい時もあるような感じかな。まぁ幾つか問題を解決しなきゃならないだろうね」

「でも、もしそれができれば、彼らのパッケージは本当に速くなるんじゃないかと思う。だから僕らも手を抜かずに懸命やりつづけるしかない」

「もちろん、今の時点で彼らの前にいるのは良いことだけど、メルセデスが如何に素早くクルマを開発できるかについては去年を見ても明らかだ。実際、一時期はあのマシンを打ち負かすのが本当に難しかった」

「物事は瞬く間に変化するものだし、特に新しいレギュレーションが導入された今年は尚更だ。まだまだ未知の部分がたくさんあるから、突然パフォーマンスがガツンと上がる事だってあり得る」

「だから、僕らとしては今のところ良い感じだけど、彼らはきっと一生懸命働いて、この差を縮めてこようとするだろうね」

サインツは今も心の何処かでメルセデスの苦戦を信じ切れていない様子で、いずれカムバックしてくるだろうとのフェルスタッペンの見解に同意した。

「そうだね、僕も彼らが戦いに戻ってくるだろうと思ってる。メルセデスはここ数年に渡って、シーズンのスタートが好調という事だけでなく、後半に向けて調子を上げていき、どちらかと言えば力強くシーズンを締め括る事で知られているように思う

「まぁ多分…と言うか、確かに彼らは嘘をついていなかった。今日のポール争いに加わっていなかったし、苦戦しているのは事実だ。驚いたけどね」

「でも同時に僕は、連中が再び上位に食い込んでくると強く確信してる。素晴らしいチームだし、きっと僕らとの争いに加わってくるはずだ」

「今年はマシンの開発速度がとんでもなく大きくなるはずだから、彼らから目を離さず、僕らも開発を進め続ける必要がある」

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