
フェルスタッペン、“パパポール”でノリスの淡い期待と「馬鹿げた俗説」を粉砕
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、2025年F1マイアミGP予選で今季3度目のポールポジションを獲得し、“父になると速くなくなる説”が単なる俗説に過ぎないことを証明。加えて、ランド・ノリス(マクラーレン)の淡い期待を打ち砕いた。
マイアミでの週末に先立ち、パートナーであるケリー・ピケがフェルスタッペンとの第一子となる女児リリーちゃんを出産。4度のF1王者は出産に立ち会うため、木曜のメディア対応を欠席し、イベント初日の金曜からサーキット入りした。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
レース優勝後、パルクフェルメで恋人ケリー・ピケと祝うマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)
僅か0.065秒差でノリスを退け、ポールを獲得したフェルスタッペンは予選後、長年まことしやかに語られてきた”件の説”について、「馬鹿げている」と一蹴した。
「出発前に数日間、家族と一緒に過ごせて良かったよ。子どもが生まれたばかりなんだから、元気かどうか確認したいのは当然だしね。見ての通り、父親になっても遅くなることはない。そんな話、もう無視していいんじゃない?」
「それに、ここに来てからもずっと彼女と連絡を取ってるよ。写真を送ってもらったり、FaceTimeしたりね。ずっとそんな感じ。家族の一員が増えただけさ」
友人でもありライバルでもあるノリスは、予選でフェルスタッペンに敗れた後、「マックスはまたしても“マックス・ラップ”を決めた。文句のつけようがない」と称賛しつつ、「父親になったらマックスが遅くなることを期待してたんだけど、全然そんなことなかったね!」と冗談を飛ばした。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
予選後の記者会見に臨むポールポジションのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と2番手のランド・ノリス(マクラーレン)、2025年5月3日(土) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム) (2)
この“説”の背景には、育児による慢性的な寝不足が集中力や判断力を鈍らせる懸念、また命がけのレースにおいてリスク回避の意識が無意識に強まるのではないか、という心理的要素が指摘されてきた。
しかしながら、フェルスタッペンはそのような要素を一切感じさせることなく、従来通りの圧倒的なパフォーマンスを披露。予選トップの座を手中に収め、父としての責任とトップドライバーとしての自負を両立できることを示した。
昨年末でセルジオ・ペレスとケビン・マグヌッセンがF1シートを失った現在、現役唯一の“F1パパ”であるニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)も木曜日にこの話題に言及し、“父になると速くなくなる説”を否定した。
「僕自身もそうだけど、クルマに乗り込んでバイザーを下げてコースに出れば、もう頭の中は完全にレースに集中していて、外のことなんて忘れてしまうくらいなんだ」
「それどころか、F1以外の場で得られるものが大きすぎて、むしろプラスに働いてるとすら思ってる。僕にとっては、何かと助けになっているとさえ言えるね」
Courtesy Of Sauber Motorsport AG
ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)、2025年5月3日(土) F1マイアミGP予選(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
フェルスタッペンも同様の見解を示し、次のように締めくくった。
「僕は、そういうバカげた話に耳を貸したりはしない。ただ、自分のやるべきことをやるだけ。子どもができた後でワールドチャンピオンになったドライバーなんて、過去にいくらでもいるでしょ? そんな話がどこから出てきたのか、理解できないね」
レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、娘の誕生がフェルスタッペンの家庭生活に変化をもたらすのは確かだとしつつも、すでにケリー・ピケの娘ペネロペと共に家族中心の生活を送っていることに触れ、レース活動に影響することはないとの考えを示した。
「そうは思わない。彼はもう既に立派な大人だし、家庭生活を楽しんでいる。何も変わることはない」とホーナーは語った。
「彼は間違いなく、子育てにも積極的に関わる父親になるだろうね。夜中におむつを替えたり、そういうことも含めてね」
「新しい命を迎えることは、どんな家庭にとっても最高の出来事だ。親になったことで、彼の人生はいろいろな意味で大きく変わるだろう」
「ただ、考えてしまうんだ……なぜって、フェルスタッペンとピケ(3度のF1王者ネルソン・ピケ)の遺伝子を持つ子だからね。もし競走馬だったら、とんでもない価値がついてるはずだ!」
2025年F1マイアミGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手はランド・ノリス(マクラーレン)、3番手はアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)という結果となった。
決勝レースは日本時間5月4日(日)29時にフォーメーションラップが開始され、1周5,412mのマイアミ・インターナショナル・オートドロームを57周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。