レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコ、クリスチャン・ホーナー代表、マックス・フェルスタッペン、2022年3月11日F1バーレーンテスト
Courtesy Of Red Bull Content Pool

2028年の契約満了を待たずレッドブルを去り得るフェルスタッペン、VWとの交渉で鍵を握る超長期契約

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2028年末までという異様な長期契約を締結しているにも関わらず、マックス・フェルスタッペンは契約満了を待たずにレッドブルを去り、ライバルチームに移籍する可能性がある。契約書にはエスケープ条項が存在するようだ。

レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコによるとフェルスタッペンとの契約には、チームが高い競争力を備えるマシンを提供できなかった場合に、契約を途中解除してチームを離れる権利を認めた条項が存在するようだ。

フェルスタッペンはルイス・ハミルトン(メルセデス)と激闘を制して2021年のF1ワールドチャンピオンに輝くと、今季に向けて最大5,000万ユーロ、日本円にして約67億6,975万円とも取りざたされる超高額の超長期契約延長にサインした。

これは現行契約が終了した後の2024年から2028年までの5年をカバーするもので、契約期間としてはシャルル・ルクレール(フェラーリ)とランド・ノリス(マクラーレン)を上回る現行グリッド最長だ。

キャリアを守る「エスケープ条項」

24歳のオランダ人ドライバーは2028年末、少なくとも30歳に至るまでレッドブルに自身の将来を託すことを約束したわけだが、Formel1によると契約満了までチームに在籍し続ける保証はない。

契約についてマルコは、もし「2014年のように」レッドブルがある種の「クラッシュ」を経験すれば、フェルスタッペンは「エスケープ条項」に書かれた権利を行使できると仄めかした。

マルコの言う2014年は、現行の1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入された変革のシーズンだ。

レッドブルはセバスチャン・ベッテルと共に2010~2013年までチャンピオンシップを4連覇したものの、この年の相次ぐレギュレーション変更を受けメルセデスが支配的な強さを発揮。レッドブルは以降、ホンダとの新たなパートナーシップを結ぶまでトップに返り咲くことができなかった。

ポルシェとの提携で鍵を握るフェルスタッペン

チームは2年の契約を残しながらも、5年の追加契約をフェルスタッペンに提示した。その背景には新規参戦を計画しているフォルクスワーゲン・グループとの交渉が見え隠れする。

フォルクスワーゲンは来週にも2026年からのF1参戦を最終決定する可能性があり、ポルシェはレッドブルとの長期的なパートナーシップを目指しているとされている。

ポルシェのコンセプトカー「ミッションR」リアCourtesy Of Porsche

ポルシェのコンセプトカー「ミッションR」リア

ポルシェがレッドブルに白羽の矢を立てたのはチームとしての実績と将来性もさる事ながら、今後長らくF1を背負って立つと期待されるフェルスタッペンの存在が大きいのかもしれない。

マルコは「マックスはチェスゲームの重要なリンクなんだ」と述べ、エスケープ条項付きとは言えども、フェルスタッペンとの長期契約がポルシェやアウディとの契約交渉で重要な役割を果たす可能性があると認めた。

「メーカーがその事を考慮するのは当然だ。故にレッドブルとしては、2028年まで最高のドライバーを確保していると言える事が重要だった」

「それにマックスのようなドライバーがいれば、チームの他のメンバーやチームパートナーにも良い影響を与えることができる」

マルコは「まだすべてがオープン」だとして、現時点ではまだ何も決定していないとしながらも「メーカーにとって我々が最も魅力的なパートナーである事は筋の通った話だ」と付け加えた。