際しい表情を浮かべるレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表、2021年12月10日F1アブダビGP初日フリー走行にて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

フェルスタッペンを必死に守るホーナー、狡猾ハミルトンと強大な影響力を持つ巨大自動車企業を相手に「勇敢に立ち向かっている」

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レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表はルイス・ハミルトンについて、巨大自動車企業メルセデス・ベンツの影響力を後ろ盾として、若干24歳の若者相手に公の場で心理戦を繰り広げているとして非難すると共に、そんな強大なライバルに一歩も引かないマックス・フェルスタッペンを勇敢なアンダードッグと位置づけた。

ミルトンキーンズの指揮官は、7度の世界タイトルを持つF1史上最も成功したドライバーであるハミルトンは自動車企業としてのメルセデスが持つ世界中のメディアへの影響力によって「バックアップされている」とした上で、「利用可能なあらゆる手段」を使ってフェルスタッペンにプレッシャーを与えていると非難した。

ハミルトンは前戦サウジアラビアGPでのレース中にライバルのリアに衝突した際、フェルスタッペンを「ファッキン・クレイジー」と表現した。ホーナーはこれを「非常に明確なシナリオがあった」と述べ「悪者扱い」する意図的な発言だと主張した。

ホーナーは更に、シルバーアローにはレッドブルのメカニックよりも多くのマーケティング担当者がいるとして、メルセデスの規模に比べれば自分たちのチーム持つ世界的な影響力は「取るに足らないもの」だと指摘した。

「世界的な規模を考えれば、メルセデスが最大級の自動車会社である事は間違いない。彼らが世界中のメディアから得ている力を考えれば、我々のそれは比べれば微々たるものだ」

ホーナーはまた、2011年マクラーレン時代のハミルトンの発言を引用して「我々はレースをするエナジードリンク会社に過ぎない」と述べ、飲料会社が所有するF1チームに負けている事をドイツの巨大自動車メーカーが快く思っているわけがないと主張した。

そして「我々はレーサーのチームだ。我々はレースをするチームであり、強いハートでドライブする驚異的なドライバーがいる」と述べ、メルセデスと自分達とを対比した。

レッドブル・レーシングを所有するオーストリアのエナジードリンク会社の昨年の売上高は63億700万ユーロ(約8,174億円)と非常に大きいが、チーム代表のトト・ウォルフ、石油化学大手のイネオスと共にメルセデスF1チームを同額所有するダイムラーの昨年の売上は1543億ユーロ(約19兆8,009億円)に達する。

ホーナーは「マックスがまだ、若干24歳の若者だという事を覚えておく必要がある。彼は勇敢に、情熱的に、そして巧みな技術と揺るがぬ決意を以てドライブしている24歳の若者なんだ」と続ける。

「彼はただ、自分の夢を追って自分の仕事をしているだけなのに、同時にルイスだけでなく、メルセデス・ベンツという巨大なマシンに立ち向かっている」

「それでも彼は今年、そのプレッシャーに引きずられる事なく対処している。バーレーンでもサウジアラビアでも自身のアプローチやレースの進め方を変える事はなかった。すべて彼の功績だ」

「マックスにとって問題なのは、監視の目が彼に向けられている事、スポットライトを浴びている事、トップを走っている事、そして7度のワールドチャンピオンと競っている事にある」

「彼のドライビングスタイルやドライビング・スタンダードに対する疑いの目は、彼にプレッシャーをかけるためのシナリオとして生み出されている」

「今年のフェルスタッペンに掛かる精神的なプレッシャーは計り知れないものがあった。行動や対処の仕方から、彼が幾つかの裁定に不満を感じている事が分かるが、それは当然のことだと思う」

レッドブルはセバスチャン・ベッテルと共に2010年から13年まで4連覇を達成したものの、1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入された2014年以降はメルセデスが支配的な強さでドライバーズ及びコンストラクターズの両選手権を牛耳ってきた。

だが、最終年の戴冠に燃えるホンダとの強力なパートナーシップを武器に、レッドブルは今年、両チャンピオンシップを懸けて最終アブダビGPに臨む事となった。チームとしてはメルセデスに28ポイントのリードを許しているものの、フェルスタッペンは7度のF1王者を相手に同点で並び、9対8と勝利数ではライバルを上回っている。

ホーナーは指揮官として、チームとドライバーを全力で守る事が仕事だと付け加えた。

「私は自分のチームを、そして自分のドライバーを、2人のドライバーを全力で守る。それがチーム代表の仕事なんだ」

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