衝突を巡り非難合戦「言い訳が上手い」と揶揄するフェルスタッペン、怒る意味が分からないとラッセル
F1アゼルバイジャンGPのスプリントでの接触事故を巡り、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とジョージ・ラッセル(メルセデス)は互いに相手を非難。主張を譲らず、落とし所が見えない状況だ。
史上初のシュートアウトを経て行われた今季初のスプリントで2列目に並んだ両者は1周目、横並びになってターン1を通過。続くターン2で接触し、フェルスタッペンがバランスを崩した事でラッセルがターン3に向けて先行した。
フェルスタッペンはターン3へのブレーキングで一旦、ラッセルに追いつくも、サイドバイサイドでコーナーに進入した後、アウト側のウォールに接触して失速。3番手を失った。
チーム無線を通して怒りをあらわにしたフェルスタッペンはその後、6周目のセーフティーカー(SC)からのリスタートの際にラッセルをオーバーテイク。スタートポジションを取り戻してフィニッシュしたが、怒りは収まっていなかった。
言い訳が本当に上手い、とフェルスタッペン
タイトルスポンサーの「ORACLE」のロゴが掲げられた左サイドポッドに数十cmほどの大きな穴が空いたクルマをP3ボードの前に停めたフェルスタッペンは、クルマを降りラッセルを見つけると、これに駆け寄り「あれを見ろよ」というようなジェスチャーで抗議した。
「グリップがなかったんだ」と釈明して早々にその場を立ち去っていったラッセルに対してフェルスタッペンは「次も同じだと思ってくれ」と投げかけ、放送禁止用語を並べ立てた。
その時のやり取りについてフェルスタッペンは「彼は『ロックしたんだ。オンボード映像を見てみてよ』なんて小綺麗な説明をしていたけど、そんなのナンセンスだ」と振り返った。
「なんで1周目にあれほどのリスクを取る必要があるのか理解できない。アンダーステアで僕のサイドポッドに接触して穴を開けるなんてね。誰もが冷えたタイヤを履いているわけで、簡単にロックアップしてしまう状況なのに」
エイペックスを取った以上、あのコーナーの優先権は自身にあったとするラッセルの主張について問われたフェルスタッペンは「説明や言い訳をするのが本当に上手い」と揶揄し、グリップが不足していたのは誰もが同じであり、自身は「十分なスペースを与えた」と主張した。
グリッド上でのやり取りで事態は解決したのかと問われるとフェルスタッペンは「いや」と答えた。
怒る理由が全く理解できない、とラッセル
一方のラッセルは「いい戦いだった、ナイスファイトだったって言いに来たんだと思った」として「正直言って、なんであんなに怒っていたのか分からない」と困惑した様子を見せた。
ヘルメットを被ったままでのパルクフェルメでのやり取りについては「Fワードを使って色々言っていたみたいだけど、それ以上の事はよく聞こえなかった」と語った。
「僕はイン側にいたんだ。ドライバーとしてアウト側にいる時のリスクは分かっているはずだ。僕は戦うために、勝つためにここにいるんだ。彼がチャンピオンシップをリードしているからといって遠慮するつもりはない」
「それでも彼がアウト側を走ろうとしていたのには驚いた。ここはストリート・サーキットだから、僕より彼の方が失うものが多いのにね」
「わざと接触したわけじゃない。僕はクリーンな戦いをしようとベストを尽くした。イン側にいたのは僕なのに、彼があのポジションにしがみつこうとしていたのには驚いたよ」
「彼は十分な経験を積んでいるわけで、アウト側から追い抜きを仕掛ければ、イン側にいる相手が突っ込んでくるリスクがあることを分かっているだろうに」
両者の接触についてメルセデスのトト・ウォルフ代表はレーシングアクシデントとの見方を示し、クルマにダメージを負った事を思えばフェルスタッペンが怒るのも「無理はない」とする一方で、ラッセルがポジションを守ろうとするのも当然だと指摘した。