マックス・フェルスタッペン（レッドブル）は、拡大するF1カレンダーとスプリントレースに対する懸念を示し、この傾向が変わらない場合、F1での現役引退を決断する可能性がある事を改めて強調した。

3度目のF1タイトルに向けて突き進む25歳のオランダ人ドライバーはスプリント反対論者として知られており、シュートアウトの導入を含む新しいスプリント形式の導入について議論が起きた際、これ以上スプリントの開催数が増えれば自身にとってのF1の「価値はなくなる」と早期引退を仄めかした。

2023年シーズン最初のスプリントを迎える第4戦アゼルバイジャンGPに先立ちフェルスタッペンは、スプリントの拡大に限らず、年間レース数が増加し続けるのであれば、自身のキャリアを再考する必要があると説明した。

英「Autosport」によるとフェルスタッペンは「いつも言っている事だけど、たとえスプリントがこれ以上増えなくても、カレンダーが拡大し続け、週末全体が長くなれば、ある時点で自分自身に問う事になる。（F1にいる）価値はあるのかってね」と語った。

「僕はレースが好きだし、勝つのも好きだ。給料を含めて色々な面で良い生活が送れている事は分かっているけど、それって本当に良い人生なんだろうか？」

「キャリアのある時点で、他のことをしたいと思う瞬間もあるだろうし、2028年末まで契約があることは知っているけど、その後、もう一度見直すつもりだし、ある時点であまりにも（レース数が）多くなっているようであれば、変化の時と言えるだろうね」

また、全盛期に引退するという決断をファンが「本当におかしい」と思うのは理解できるとしながらも、「ある種の物事には限度がある」とも主張した。

フェルスタッペンがスプリントを嫌っているのは、例え1周目にクラッシュなどの「エキサイティング」なアクションがあったとしても、100kmとは言え一つのレース結果が出ることで序列の予想がつき、日曜の本戦の「輝きが失われてしまう」点にあるという。

ただしF1での現役引退はフェルスタッペンにとって、必ずしもレーシングドライバーとしての引退を意味するわけではない。2度のF1ワールドチャンピオンはこれまで度々、複数名でマシンを共有する耐久レースへの興味を口にしてきた。

フェルスタッペンは「他のレースもやってみたい」と述べ、父ヨス（51歳）とのタッグについては乗り越えるべき年齢的なハードルがあるとした上で、例えそれが叶わなくても参戦する可能性があると認め、更には自分のチームを立ち上げたり、レース以外にも「やりたい事がたくさんある」と語った。

とは言え、時速400km近い異次元の高速で周回し続けるインディ500に関しては、シリーズに参戦しているドライバー達とは「良い繋がり」があり、また見るのは好きだとして現地観戦の可能性こそ認めつつも、自らステアリングを握る事は「絶対にない」と断言した。

F1アゼルバイジャンGP特集