レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、F1エミリア・ロマーニャGPにて
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国際団体からの非難に晒されるフェルスタッペン、差別用語でのストロール批判を反省「誤った言葉遣いだった」

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レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、アルガルベ・サーキットで開催されたF1ポルトガルGPの金曜フリー走行でランス・ストロールに発した差別的発言について、言葉の使い方が適切でなかったと認めた。

フェルスタッペンは前戦の2回目のフリー走行中に、ホームストレート終端のターン1でストロールと接触してクラッシュを喫した。怒りに震えたオランダ人ドライバーは事故の直後、無線で知的障害者を侮辱する「retard」や、ダウン症の人やモンゴル人を差別する「Mongol」なる言葉を使っていた。

この件についてフェルスタッペンは先週「僕の問題じゃない」として一蹴したが、スコットランドに拠点を置く国際的慈善団体「モンゴル・アイデンティティ」がフェルスタッペン並びにF1に対して抗議する事態へと発展した。

同団体は生後3ヶ月にダウン症で亡くなった息子を持つ母、ウガナ・ラムジーによって設立され、モンゴル民族を指す「Mongol」という言葉の”歴史的誤用”に終止符を打つ事を目的としている。

ウガナ・ラムジーは10月25日付けでフェルスタッペンに宛てた書簡の中で次のように述べ、抗議と共に「公的な謝罪」を求めた上で、F1の統治機関である国際自動車連盟(FIA)と直接対話を行う考えを明らかにした。

「ヘイトスピーチとしての”Mongol”という言葉が使われた事への嫌悪感と深い懸念を表明したいと思います。歴史的経緯があるにも関わらず、F1がこのレッテルに強く反対する姿勢を示さなかったことにショックを受け、失望を隠す事ができません」

「ダウン症の人を指す”mongoloid”という言葉は、1965年に世界保健機関(WHO)が使用を廃止していますが、これはモンゴル民族を侮辱するものと考えられていたからであり、それは今も変わっていません」

「1860年代にダウン症を発見したジョン・ラングドン・ダウン博士は、モンゴル人やモンゴロイド人種(アジア系民族)と身体的特徴が似ていたとして、ダウン症の人々を”Mongolism”あるいは”Mongoloid”という言葉を使って表現していました」

「こうした言葉の使い方は、科学者たちが”Mongolism”あるいは”Mongoloid”の代わりに”ダウン症”を使うよう請願した1960年代まで続きました。以降多くの国において、こうした言葉の使い方は侮辱的であると認識されています」

事態を重く見たレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは一件について「二度と起こしてはならない」としてフェルスタッペンに厳重注意を行った。

イモラで開催されたエミリア・ロマーニャGPのFIA金曜記者会見の一発目の質問は、無論、この差別的発言に関するものだった。フェルスタッペンは一転、誤った言葉遣いだったと認めた。

「まず第一に、誰かを怒らせるつもりはなかったんだ。決してそんな事を望んでいたわけじゃない」とフェルスタッペン。

「瞬発的に思わず口から出てしまっただけなんだ。あのレベルの速度でドライブしている時は、時としてそういう事が起こり得る」

「自分が選んだ言葉が正しいとは言わないし、それが正しい言葉ではない事も知っている。もう一度言うけど、誰かを侮辱するような意図はなかった」

「それに加えて僕はランスに悪態をついたが、その後すぐに彼と会った。お互いに怒りをぶつける事があっても、5分以内に目を合わせて話をすれば忘れてしまうものだ。それはレーシングドライバーも同じだ」

「決して特定の誰かを傷つける意図はなかった。だから、これ以上話を大きくする必要はないと思ってる。あの言葉遣いが正しくなかった事も分かっている。一度起こってしまった事を変える事は出来ないけど、この一件から学びたい」

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