逆転負けも覚悟していたレッドブル・ホンダ、勝負を決したフェルスタッペンのタイヤ管理

ミラーで背後のルイス・ハミルトン(メルセデス)を警戒しながらレースを戦うマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、2021年10月24日F1アメリカGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、最終盤にルイス・ハミルトンに逆転負けを許すかもしれないという恐怖を感じながら56周のレースを見守っていた事を明かした。それはマックス・フェルスタッペンの第2スティントを早々に切り上げた事に依るものだった。

ポイントリーダーのフェルスタッペンはF1第17戦アメリカGPで予選ポールを手にするも、スタートで見事な蹴り出しを見せたハミルトンにターン1で先行を許した。結果チームはポジションを奪還すべく、アンダーカット狙いで早めのピットストップに動いた。

これについて2009年のF1ワールドチャンピオン、ジェンソン・バトンは「早過ぎると思ったんだけどね」と振り返っている。

フェルスタッペンより3周分タイヤ交換を遅らせた事でハミルトンは、そのアドバンテージを活かして第2スティントで猛追。28周目にフェルスタッペンに対して3.278秒まで迫った。

そこでレッドブル・ホンダはハミルトンのアンダーカットを防ぐべく、29周という早い段階でのピットストップを余儀なくされた。

結果、ハミルトンは第2スティントをも引き伸ばして38周目にピットイン。レース終盤に向けて8周分フレッシュなハードタイヤを手に、残り19周で8.8秒差を詰めるための戦いに繰り出した。両者の差は僅か5周で5秒を切り、ハミルトンは残り7周で2秒圏内に迫った。

たが、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼから低速コーナーやストレートでの立ち上がりに際してリアタイヤをケアをするよう指示されていたフェルスタッペンは、自己ベストを刻みながらライバルの接近を最小限に抑えつつもタイヤをケアし、最終的に1.3秒差でハミルトンを抑え切る圧巻の走りをみせた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台に立つマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスを祝福するレッドブル・ホンダのクルー、2021年10月24日F1アメリカGP決勝レースにて

トップチェッカーを受けたフェルスタッペンはチーム無線を通して「たまにはアグレッシブになるのも良いもんだね」とチームの戦略的判断を称賛した。

優勝によってドライバーズチャンピオンでのリードを12点に拡大したレースを振り返ってホーナーは、第2スティントで履いていたハードタイヤの摩耗が限界にまで達していたため、フェルスタッペンが最終スティントの27周を最後まで耐え切れるかどうか自信がなかったと明かした。

「彼があれをやってのけてくれる確信はなかったんだ。ルイスは8周分新しいタイヤを履いていたし、ハードタイヤの最初のセットは殆どキャンバスにまで達していた」

「我々はこのままでは最後まで保たないだろうと考えていた」

「だがマックスは最後のスティントを通してタイヤをマネージし、残り5周に向けて十分に温存してみせた」

「ご覧の通りレース終盤のルイスは本当に力強かった。最後の数周で敗れる事になれば本当に辛い思いをしただろうが、マックスはスマートかつ素晴らしい仕事をこなして、ギリギリまで頑張ってくれた」

USグランプリでSky Sportsの解説に加わった米国屈指の女性ドライバー、ダニカ・パトリックは「マックスの最後のペースには本当に驚かされました。ルイスは残り10周程のところで3秒半にまで迫っていたにも関わらず、そこまで辿り着けなかったのですから」と語った。

ハミルトンとの死闘を終えてヘルメットを脱いだフェルスタッペンは、自身もまた、リスクを負ったこの積極的なストラテジーが功を奏するかどうか自信が持てていなかったと明かした。

「スタートで逆転を許してしまったから、何か別の方法を試さなきゃならなかったわけだけど、ここはタイヤの摩耗がかなり激しいんだ」

「アグレッシブに攻めたけど、上手くいくかどうかは確信が持てなかった。でも最後の数ラップは楽しかった。高速コーナーでは少し横滑りしてしまったけど、最後まで守り抜けて最高に嬉しいよ!」

F1アメリカGP特集

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了