ルクレール「如何に悔しくても、カルロスの素晴らしい初勝利を汚しちゃならない」フェラーリが戦略でサインツを優先した理由
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シャルル・ルクレール(フェラーリ)は3日(日)のF1第10戦イギリスGPで、4月のオーストラリアGP以来となる優勝をほぼ手中に収めていたものの、またも不運な事にそれを逃し、4位に甘んじる事となった。
3位ランカーは過去10戦で6回ものポールポジションを記録しているが、信頼性不足や戦略不発などの理由により第4戦以降は一度も優勝できておらず、ここ5戦に至っては表彰台にすら乗れない状況が続いている。
1周目の多重クラッシュを経てレースが再開されるとルクレールは、アルファタウリのデブリにより失速したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を交わして2位に浮上。ペースの上がらないチームメイトのカルロス・サインツと31周目に順位を入れ替えトップに躍り出た。
だがその8周後にエステバン・オコン(アルピーヌ)がマシンストップ。セーフティーカーが導入された。
再開後のスプリントレースを見越して周囲がこぞってフレッシュなソフトタイヤに履き替える中、ルクレールはどういう訳か、使い古したハードタイヤでステイアウトした。
チーム代表のマッティア・ビノットによると、後方を走るサインツとのマージンが僅かであったためWストップに動く事ができず、どちらか1台を選ばなければならない状況だったと言う。
そこでピットウォールは、タイヤがより古く、かつ後方からの脅威に晒されるサインツを優先した。これがサインツの初優勝に繋がった。
結果的にルクレールは再開直後に新品ソフトを履くチームメイトに首位の座を奪われ、奮闘虚しくセルジオ・ペレス(レッドブル)とルイス・ハミルトン(メルセデス)にも先行を許した。
チームの戦略的判断に一片の不満もないはずもないが、ルクレールは「どんなに悔しくとも、カルロスにとっての素晴らしい初勝利を汚すようなことはあってはならない。彼にとって決して忘れられない瞬間になるだろうし、これは全てのドライバーにとって夢のような出来事なんだから」と、チームの決定に対して意見する事を避けた。
「傍からでは決定の全容が分からない以上、コメントするのは難しい。もちろんフラストレーションは大きい。だって結局のところ、僕のレースはあの後に厳しくなったわけだからね」
「後方に留め置くべく最善を尽くしたけど、新品のソフトと中古のハードではあからさまに大きな違いがある」
「楽しかったし、レース後半は本当にトリッキーで、至る場所で限界まで攻めたけど、ポジションを守るためにはそこまでせざるを得なかったんだ」
「あれ以上の事ができたとは思わない。チームと共に分析して、よりよい方法があったかどうかを確認してみるつもりだ」
2022年F1第10戦イギリスGP決勝レースでは、カルロス・サインツ(フェラーリ)がポール・トゥ・ウインでF1初優勝を飾る結果となった。
レッドブルリンクを舞台とする次戦オーストラリアGPは7月8日(金)のフリー走行1で幕を開ける。