
角田裕毅が見せた「トップチームでの矜持」フェルスタッペンに頼らず”並び立つ” その姿勢の真意とは
扱いが難しいとされるレッドブルRB21をどう乗りこなすか――その方法について既に自分なりの考えを持っているという角田裕毅は、新たなチームメイトであるマックス・フェルスタッペンに頼る気はないという。
2025年F1第3戦日本GPを前に角田は、「正直、クルマのことについてマックスに聞いても、本当のことは教えてくれないと思います」「仮に本当に苦しむことがあっても、それでもマックスには聞かないと思います」と語った。一見すると挑発的にも冗談めいても受け取れるが、その意味は深い。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンと角田裕毅、2025年4月2日(水) オラクル・レッドブル・レーシング・ショーラン(東京お台場)
角田が意図するのは、フェルスタッペンが非協力的であるということではない。F1のトップチームにおいて、ドライバー同士が詳細な技術的ノウハウを共有する関係にないという現実を、冷静に理解した上での発言であり、また、角田自身がRB21という難解なマシンの攻略に揺るぎない自信を持っていることの表れとも言える。
さらに深読みするのであれば、かつてフェルスタッペンの隣でレースを戦い、セカンドチームへの降格という非情な決断を経験した親友ピエール・ガスリー(アルピーヌ)からの助言が背景にある可能性も否定できない。
レッドブル・レーシングは、フェルスタッペンを中心としたチーム体制とクルマづくりの色が極めて濃い特殊な組織だ。そんな“単一カラー”の環境で重要なのは、自らがこれまでに歩んできた道を決して見失わず、自身のアイデンティティや、積み上げてきたドライビングスタイルを確固たる核として、時間をかけてマシンに適応していくことだ。
角田はそのリスクを十分に理解しているからこそ、自身の信念を貫くという選択を意識的にしているのではないか。5年目のシーズンを迎えた彼は、もはや“若手”ではない。トップチームで生き抜くための武器として、自らの経験と直感、そしてエンジニアとの信頼関係を最大限に活かそうとしている。
実際、角田は「自分のデータを分析したり、彼のドライビングやオンボード映像をチェックしたりして、自分で答えを探しています。直近の2戦分の映像はすでに何度も見ました」と語り、自らの力でRB21の特性を理解しようとする努力を強調した。
扱いが難しいとされるRB21については「このクルマの“クセの強さ”はまだ感じていません」とした上で、「ドライビングスタイルによっても挙動が違うはずなので、自分で実際に走って確かめたいと思っています」と、実地での確認を重視する姿勢を示した。
また、「実際に乗ってみたうえで、これまでのF1での5年の経験から、いくつか解決策のヒントが見えてくると信じていますが、仮に本当に苦しむことがあっても、それでもマックスには聞かないと思います。エンジニアと一緒に発見していくつもりです」とも語り、自律した中堅ドライバーとしての立場を鮮明にした。
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鈴鹿サーキットのパドックに到着した角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月3日(木) F1日本GP
加えて、RB21の理解にあたってエンジニア陣との連携が進んでいることも明かした。
「これまでのところ、彼らはとても協力的ですし、ドライバーが自信を持ちづらい原因となっている特性について、いくつかのヒントもすでにいただいています。そういった情報はすでに頭の中に入っており、かなりクリアになっています」と述べ、準備に手応えを感じている様子をうかがわせた。
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ホンダRA272の前で写真撮影に臨む角田裕毅、2025年4月2日(水) レッドブル・レーシング・ショーラン(東京お台場)