モンツァ・サーキットでメディアからのインタビューを受けるアルファタウリ・ホンダの角田裕毅、2021年9月9日F1イタリアGPにて
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角田裕毅、シート喪失を覚悟していた? アルファタウリ・ホンダ残留決定に「驚いた」

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レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコやチーム代表のフランツ・トストが2022年のアルファタウリ・ホンダ残留を決断した事に、角田裕毅は良い意味で”少し”意表を突かれたようだ。

イタリア・ファエンツァのチームは地元モンツァでのグランプリを前に、2022年も現行のドライバーラインナップを維持する事を正式発表した。だが角田裕毅は相次ぐミスの重大性を認識していた。

日本人ルーキーは今年、イモラ、バクー、ポールリカールで3回に渡って予選クラッシュを演じた。モナコでのフリー走行でも壁に激突し、再建のためにイタリアへの転居を命じられ、ハンガロリンクのFP1でもバリアに突っ込み赤旗の原因を作った。

F1第14戦イタリアGP開幕前日のプレスカンファレンスの中で角田裕毅は、来季残留の確率を「五分五分」と口にしていた先週の段階から既に来年の契約がある事を知っていたと認めた上で「自分でも、来年もチームに留まれる事になって少し驚いています。チームに感謝しています」と語った。

なぜ驚いたのか?と問われると、長い沈黙を経て笑みを浮かべながら、一貫性の欠如とミスによるクラッシュの多さを理由に挙げた。

「何故って、クラッシュばかり繰り返して、チームに多額の費用を払わせる事になってしまいましたので」

「特にハンガリーではFP1で壁にぶつかってしまい、1セッション、2セッションを台無しにしてしまいました」

「フランツ(トスト、チーム代表)やヘルムート(レッドブルのマルコ)からは、もっと安定した結果とドライビング、そしてセッションにおける自制心が求められていました」

「僕はシーズン前半を通して改善する事ができませんでした。それが理由です」

入賞を飾ったバーレーンでのデビュー戦は鮮烈で、F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンをして「ここ数年で最も優れたルーキー」と言わしめたが、初陣に向けて大量に走り込み、自信を感じていた第2戦の予選でクラッシュを喫した事が前半戦の流れに大きな影響を及ぼしたようだ。

「F1での初戦の際は殆ど全てのセッションで全力投球しました。その時点では上手くドライブ出来ているとの良い感触を得ていたのですが、イモラでの予選以降は少し自信を失っていました」

「ジュニア・カテゴリーでは派手にスピンしたりバリアにぶつかったりしても、ここまで自信を失う事はなかったので、こうした状況がF1でこれほど厳しいとは予想していませんでした」

「また、シーズン序盤は期待が大き過ぎました。初戦はそれが功を奏したのだと思いますが、その後はセッションごと、週末毎に徐々に混乱していき、それが(負の)スパイラルを生んだのだと思います」

第2戦から第5戦まで連続ノースポイントに終わった角田裕毅だが、第6戦アゼルバイジャンGPで7位入賞を飾ると以降はハンガリーでの6位を含めて4度のトップ10フィニッシュを果たした。角田裕毅は残りのシーズンで更なるポイント獲得を誓う。

「来年の僕の目標は定まっていますが、今はまだ今シーズンに集中しています。来年はもっと安定したパフォーマンスを発揮してチームのチャンピオンシップ争いのためにポイントを稼がなければなりません」

「とは言え来年はマシンが一新されますのでどうなるかは予想できません。ですので僕としては残りのシーズンでポイントを獲得する事に集中しています」

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