
海辺に届いた突然のF1復帰要請…角田裕毅「興奮半分、疑い半分」 来季シートへの思いとオランダGPの優先事項
ザントフォールト・サーキットに姿を見せた角田裕毅が、2026年F1第12戦オランダGPで突然巡ってきた実戦復帰への思いを語った。連絡を受けた際、角田はギリシャの海辺にいた。参戦が確定するまでは、期待と疑いが半々だったという。
手首の負傷によりアイザック・ハジャーがオランダGPを欠場することで、レーシング・ブルズのリアム・ローソンが代役としてレッドブルに復帰する。その結果、空いたレーシング・ブルズのシートを角田が担うことになった。角田にとっては2025年最終戦アブダビGP以来の出走となる。
代役出走の可能性を知らされた際の心境について、角田は次のように振り返った。
「話を聞いたときは、興奮半分、疑い半分という感じでした。何が起きるか分からないので。ただそれでも、本当に胸の高鳴る出来事でした」
「ここに来て、今週末走ることが正式に決まったので、今はすごく嬉しいです。身体的な準備も万端です。何度か旧型マシンテスト(TPC)に取り組んではいますが、現行マシンに乗るのは今回が初めてです。それでも、本当に楽しみです」
ギリシャの海辺に突然届いたF1復帰の一報
角田が復帰の可能性を知らされたのは、正式発表の前日となる今週火曜日だった。オランダのF1専門メディア『RacingNews365』によると、当時の状況を問われた角田は、マネージャーや友人とギリシャを訪れていたと振り返った。
「マネージャーや友人たちとギリシャにいました。一緒に過ごしていて、僕はビーチにいました。『ずっとビーチで遊んでいた』みたいな話にはしたくないですけどね!」
「もちろんトレーニングなどは続けていました。でもその時はビーチにいて、リラックスしながら、きれいな海を眺めていました」
そこへマネージャーから突然、イギリスに向かうよう連絡が入った。角田がギリシャに到着してから、まだ「24時間」ほどしか経過していなかった。
「『なぜ?』と聞いたら、『今週レースに出るかもしれない』と言われました」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
パドックで笑顔を見せる角田裕毅(レーシング・ブルズ)、2026年8月20日(木) F1オランダGPメディアデー(ザントフォールト・サーキット)
初の2026年型マシン、限られる走行時間
2025年限りでレッドブルのレギュラーシートを失って以降、角田は今シーズン、テスト兼リザーブドライバーとして舞台裏でチームを支えてきた。実戦からは離れていたものの、復帰に備えた身体作りとレーシング走行は続けてきた。
「身体的にもメンタル的にも十分に整っています。ほぼ毎日欠かさず、トレーニングを重ねてきたので」と角田は語る。
「トレーニングする時間はたくさんありました。ほかにやることがなかったので。これまでに4回、TPCに取り組みました。レース距離に換算すると5レース分くらい走っています」
それでも、エネルギー・マネジメントを中核に据えた新たなパワーユニット(PU)規則に基づく新世代マシンをドライブするのは今回が初となる。このマシンは、ドライバーの本能に逆らう走りが求められるとして、しばしば現役ドライバーたちから批判されてきた。
さらに、オランダGPではスプリント形式が採用されるため、角田に許されるフリー走行はFP1の1回のみとなる。角田は、パフォーマンスや成績に関する具体的な目標は設定していないと語った。
「あとはこのマシンに慣れるだけです。おそらくフィーリングや操作手順、スタートの仕方など、[去年までのマシンとは]かなり違うと思います」
「フリー走行が1回しかないので、少し難しいかもしれません。なので、現時点では特に期待値は設定していません。とにかく、ずっと待ち望んでいた『楽しむこと』が重要だと思っています」
2027年F1シートへ存在価値を示す好機
Courtesy Of Red Bull Content Pool
室内で笑顔を見せるレーシング・ブルズの角田裕毅とアービッド・リンドブラッド、2026年8月20日(木) F1オランダGPメディアデー(ザントフォールト・サーキット)
角田にとって今回の出走は、今季初めて実戦で自身の存在価値を示せる機会でもある。実際にコースを走らなければ、レーシングドライバーとしての自身の能力を証明できないという現実を、角田は強く意識している。
「自分に何ができるかは分かっています。でも実際に走らなければ、それを示したり証明したりするのは難しいものです。なので、これは絶好の機会だと捉えています。この機会を与えてくれたレッドブルとレーシング・ブルズに感謝しています」
一方、代役参戦がオランダGPのみとなるのか、翌戦のイタリアGPも続くのかについては「アイザックの回復次第だと思います。早い回復を願っています。僕が聞いている限りでは今週末だけです。次のグランプリについては、まだ分かりません」と語った。
今回の復帰は、2027年のレギュラーシートを巡る争いにおいても、角田にとって貴重なチャンスとなる。角田は来季シート獲得への希望を隠さなかったが、その判断は自分の手の内にはないとして、目の前のドライビングに集中する考えを強調した。
「もちろん、来年のシートを望んでいますが、僕にコントロールできることではないので、今はそのことを考える必要はないと思っています」
昨季最終戦以来となる出走に向けて、角田は二つの目的を掲げている。
「ずっと長い間、この機会を待っていました。シーズンが始まってからここ数カ月は、ずっと画面越しにレースを見ているだけで、マシンに乗って他のドライバーたちと戦いたくて仕方がありませんでした」
「自分自身の良い部分を示せるよう、また、何よりもこの瞬間を楽しむことを大事にしたいと思っています」