
12番手は“通過点”? 角田裕毅、復帰初日に見せた順応力「ルーキーの気分」でもSQ2進出。照準は土曜の本予選
角田裕毅(レーシング・ブルズ)は、約8カ月ぶりのF1実戦復帰となった2026年F1第12戦オランダGP初日のスプリント予選を12番手で終えた。そのブランクと彼が抱えていた課題を踏まえれば非常に堅実な結果と言えるが、角田が見据えていたのはスプリント予選ではない。
週末のフォーマットに惑わされることなく、初めて乗る2026年の新世代マシンへの適応を優先。土曜の本予選に照準を合わせていた。それでも、同じく代役参戦となり、より競争力の高いレッドブルを走らせるリアム・ローソンとの差は僅か0.009秒だった。
段階的ビルドアップを重視も、復帰初予選12位
角田はアイザック・ハジャーの欠場を受けて急遽レーシング・ブルズから出走し、フリー走行1回目(FP1)でVCARB 03を初めてドライブした。しかもFP1の序盤は路面の一部が濡れ、通常以上にトリッキーなコンディションだった。それでも角田は、自身が予想していた以上のペースを発揮した。
「特にウエットコンディションで、自分にあれだけペースがあったことにはかなり驚きました」と角田は振り返る。
「もっとも、ウエットコンディションで走るのは、ほかのドライバーにとってもほぼ初めてだったと思うので、今年のマシンに初めて乗る僕にとっては、条件的に少しハンデが相殺された部分もあったと思います」
「ただ、ドライコンディションに関しては、もう少し取り組まなければならない部分があります」
「最終的には、スプリント予選での自分のパフォーマンスにはかなり満足しています。もちろん、まだ改善できる部分はいくつかあります。でも、こういうフォーマットでは、少しずつ積み上げていくことが大切です」
角田は限られた準備時間の中で、少しずつタイムを削っていった。一発の結果を追って無理にペースを引き出すのではなく、走るたびに限界を広げる賢明なアプローチを貫いた。
スプリント予選SQ1の最初のアタックでは、チームメイトのアーヴィッド・リンブラッドから0.427秒遅れた。特にセクター3で差がつき、現行マシンでの経験差がタイムに表れた。それでも2回目のアタックでは自己ベストをわずかに更新。13番手でSQ1を突破し、復帰後初めての予選でSQ2へ進んだ。
1アタックに限られたSQ2では、一部のミニセクターで全体ベストを記録するまでペースを上げた。リンブラッドとの差も0.360秒まで縮め、セッションを重ねるにつれて2026年型への適応を進めた。
ザントフォールトはランオフエリアが狭く、わずかにでも限界を超えればグラベルやバリアが待つ。過度なリスクを冒すことは何よりも避けるべきであり、角田はアタックのたびに限界域を慎重に広げていった。
「こういう昔ながらのサーキットではランオフエリアにもあまり余裕がないので、少しずつペースを上げていく必要がありますが、このプロセス自体は楽しんでいます」と角田は語った。
「ルーキーの気分」――照準は本予選に
ハジャーの欠場は突然の出来事だった。実際、角田が復帰の可能性を知らされたのは、正式発表の前日となる今週火曜日だった。当時、角田はギリシャの海辺でオフを楽しんでいた。そのため、実車での走行はもとより、シミュレーターを使った走行もわずか1日に限られた。
角田は初日のセッションを通して、「すべてがまるでルーキーになったような感覚」を受けたといい、「ブレーキの踏力など、あらゆる部分が前年までとはかなり違います」と説明した。
新世代マシンのダウンフォース量は大幅に低下し、エネルギー回生が強化されたことでブレーキングの感覚やマシンバランスも前年から大きく変わった。角田は今季、旧型マシンテスト(TPC)で2025年型を走らせてきただけに、特に高速コーナーでの挙動に大きな差を感じていた。
「これまでは昨年のマシンを走らせていました。おそらくF1史上最速クラスのマシンの一つだったと思いますし、TPCでの走行を本当に楽しんできました。そのため、今回このマシンに乗った際、かなりの感覚的な違いを感じました。特に高速コーナーでは大きく違います」
本予選に最初の照準を合わせる角田にとっては、土曜のスプリントもまた新世代マシンへの習熟を深めるためのセッションという位置づけだ。
「僕にとって一番の目標は明日の予選です。ここまでは、セッションを重ねるごとにかなりうまく積み上げられていると思います」と角田は語る。
「明日のロングランも楽しみにしています。予選と決勝に向けて必要なデータを、そこでしっかり集めたいと思います」
無理を冒さぬビルドアップの途上で見せたこの日のパフォーマンスは、かつてジュニア時代に角田の強みとされた順応力を感じさせるものだった。本命と位置づける公式予選でどのような走りを披露するのか、注目される。
2026年F1オランダGPのスプリント予選では、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が0.041秒差でランド・ノリス(マクラーレン)を抑えてポールポジションを獲得した。復帰戦の角田裕毅(レーシング・ブルズ)は12番手をマークした。
スプリントは日本時間8月22日(土)19時から、公式予選は同23時から1時間に渡ってザントフォールト・サーキットで開催される。セッションの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。