2021年F1開幕前テストの勘所、例年より少ない日数と会場の違いがもたらす影響と3日間の使い方
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2021年シーズンのF1公式プレシーズンテストは例年とは舞台も時期も日数も異なる。テストを十二分に楽しむために勘所をまとめる。
会場の違いがもたらす恩恵
F1では過去6年間に渡ってスペインのカタロニア・サーキットをプレシーズンテストの舞台として活用してきたが、今年はそうではない。
バーレーンに開催地が変更された事で、チームとしてはより効率的な準備を行う事が可能になる。
この地域はバルセロナに比べて気温が高く、天候も安定的であるため、砂嵐を除けばより理想的なコースコンディションが得られる。チームはマシンやタイヤのパフォーマンスをより正確に分析する事が可能となる。
また、今季初戦と同じバーレーン・インターナショナル・サーキットが会場であるという事は、今回のテストが開幕戦に直接的に影響を与え得るという事を意味する。
後ろ倒しとなった開催の利点
当初は3月2日~4日に予定されていた今季のプレシーズンテストだが、3月12日~14日へと後ろ倒しとなった。これはオーストラリアGPが延期となり、代わってバーレーンGP(3月28日)が開幕戦の役割を担う事となったためだ。
多くのチームは開幕の週末に近い日程を望んだものの、新しく切り替えるメルセデス製パワーユニットの分析・評価に時間を掛けたいとの理由でマクラーレンが反対した事で、初戦の2週間前に落ち着いたと見られている。
開催日程が延期された事でチームとしては準備に割ける時間を確保する事が可能となっただけでなく、テストに持ち込んだ機材をそのまま開幕戦まで現地に置いておく事ができ、物流を含む後方支援業務の負担を抑える事が可能となった。
3日間という僅かなテスト期間
2019年は計8日間あったプレシーズンテストだが、コスト削減の一環として昨年は6日間に削減された。だが今年はそれよりも更に少ない僅か3日間に留まる。
メカニカルコンポーネントの多くの開発が禁止された今季の新車は昨季型の持ち越しであり、それを加味すれば例年よりもテストの重要性は低いとも言えるが、それでもなお非常に重要な機会である事は確かだ。
信頼性不足やクラッシュなどの不測の事態で走行時間を失う事は許されない。1分たりとも無駄のないように計画を徹底的に突き詰め、効率的に走行プログタムを組む必要がある。
規約上、各チームがテストに投入できるのは1台のみであるため、ドライバー的には僅か1.5日(3日÷2)で準備を整えなければならない。角田裕毅、ミック・シューマッハ、ニキータ・マゼピンら3名のルーキー、セバスチャン・ベッテル、ダニエル・リカルド、カルロス・サインツ、セルジオ・ペレスら移籍組にとっては大きな挑戦となる。
不適切動画騒動の影響だろうが、昨年末のアブダビテストに唯一参加できなかったマゼピンは他の新人2名とは異なり、まだ一度も新チームでマシンを走らせる事ができていない。
テスト目標と3日間の使い方
初日のターゲットは、マシンの主要システムが期待通りに問題なく動作する事を確認し、2日目以降の基礎を作り上げる事となるだろう。
まずはシステムチェックから始まり、空力パフォーマンスの検証、特に移籍・新人ドライバーに関してはマシンの操作方法や手順などの確認を行う事になる。
2日目以降はパフォーマンスに焦点を当てたプログラムが行われる事になるだろう。様々なコンパウンドを使用しながらショートランとロングランを繰り返し、クルマが持つ性能を如何に引き出すかを探っていく。
ただし、シェイクダウン不要のメルセデスや一部チームは、初日からパフォーマンスランに取り組むかもしれない。
リザルトが持つ意味
各チームがどのようなラップタイムを刻むのかは非常に興味深いが、誰もが口にする通り、正確な序列に関しては初戦、最初の数戦を待つ必要がある。
タイムシートの並びだけで新車の実力を推し量る事はできない。テストでの各車は搭載燃料もエンジンモードもコンパウンドも走行プログラムも異なる。
例えば昨年のテストの総合3番手タイムはルノー、同4番手はフェラーリで、共に2番手レッドブル・ホンダに肉薄するタイムを刻んでいるが、ルノーは開幕戦8位、フェラーリは10位で、シーズンを終えてみれば両者ともレーシングポイントやマクラーレンに敗北を喫している。
ただ先述のように、今年はテスト開催地が開幕地と同じであるため、例年よりは初戦のリザルトとの相関が高くなる傾向に振れるものと思われる。