実は”ドゥーハン”が由来だった「ミック・シューマッハ」F1界と2輪界のレジェンド一家の知られざる秘話
4輪最高峰のF1世界選手権における伝説的な「シューマッハ」家と、世界最高峰のロードレース選手権史に燦然と輝く「ドゥーハン」家には、知られざる深いつながりがある。
アルピーヌから2025年に初のF1フル参戦を果たすジャック・ドゥーハンの父、ミック・ドゥーハンは、1994年から1998年までロードレース世界選手権(MotoGP)の500ccクラスで5連覇を果たした伝説的ライダーだ。
ホンダのワークスチームで活躍したミック・ドゥーハンが1990年代に築いた偉大な功績は、7度のF1ワールドチャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハにも感銘を与え、2人は親しい友人となった。
ジャックによると、両家はモナコで隣同士に住んでいたこともあり、家族ぐるみの付き合いがあったという。その関係は次世代にまで引き継がれ、各々の息子達にも影響を与えた。
元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンによると、ミハエルの息子であるミック・シューマッハの名前の由来は、F1界の英雄である父ではなく、500ccクラスの絶対王者だった。
「ミック・シューマッハは、父親のミハエルにちなんで名付けられたわけではない。そう思っている人が多いがね」と、ジョーダンは自身のポッドキャストの中で語った。
「実はミック・シューマッハの名前の由来は、父ミハエルが心から敬愛していた人物なんだ。ホンダとともに5年連続で世界タイトルを獲得した伝説のスポーツマン、他でもないミック・ドゥーハンだよ」
「その敬意の証として、ミハエルは息子に『ミック』と名付けたんだ」
一方で、ミハエル・シューマッハはミック・ドゥーハンの息子であるジャックにも影響を与えた。
ジャックは、自身のキャリアにおいてミハエル・シューマッハの精神やメンタリティから大きな影響を受けていると明かしているが、これに留まらない。
3歳の時にシューマッハから初めてカートをプレゼントされたことが、ジャックのレーシングキャリアの出発点となったのだ。
ジャックは2012年に本格的にカート競技を開始し、2015年と2016年にオーストラリアカート選手権で優勝すると、翌年にはCIK-FIAカートヨーロッパ選手権で3位、世界選手権で6位を獲得。その後、F1へと連なるシングルシーターのカテゴリーへステップアップした。
奇しくも、二人のレジェンドの息子たちは現在、同じアルピーヌに所属している。
昨年末に正規シートを手にしたジャック・ドゥーハンは今年、初のF1フルシーズンに挑む。一方のミック・シューマッハはハースF1を経て、アルピーヌのFIA世界耐久選手権(WEC)プロジェクトの一員として2シーズン目に臨む。
父親たちが異なるカテゴリーでモータースポーツ界を席巻したように、ジャックとミックもそれぞれの舞台で新たな歴史を刻もうとしている。