ニック・キャシディ、山本尚貴を退け逆転チャンピオン「涙が止まらなかった」2019年スーパーフォーミュラ鈴鹿
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2019年全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦 最終戦鈴鹿の決勝が10月27日に三重県鈴鹿サーキットで開催され、ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)が2位フィニッシュ。シリーズ参戦3年目にして、悲願のシリーズチャンピオン獲得を果たした。
トヨタにとっては2017年の石浦宏明(JMS P. MU/CERUMO・INGING)以来のタイトル奪還で、国内トップフォーミュラでの外国人ドライバーチャンピオンとしては、2011年のアンドレ・ロッテラー以来。スーパーフォーミュラでは初の外国籍王者が誕生した。
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決勝レーススタート時点では、前年王者の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が29点で選手権をリード。ニック・キャシディが1点差でこれを追う展開で、アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)、山下健太(KONDO RACING)、そして小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)の5名に、シリーズチャンピオンの可能性が残されていた。
前日まで降った雨は止み、予選は気温23度、路面温度25度というドライコンディションの下で、26日(土)午後12時25分から行われた。Q3セッションで唯一35秒台を刻んだアレックス・パロウが1分35秒972のポールポジション。2番手に野尻智紀(TEAM MUGEN)、3番手にルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)が続いた。
2年連続の王座を目前にした山本尚貴はスターティンググリッド5番手。トヨタ勢で唯一Q3へと進んだニック・キャシディは6番手。タイトルを争うライバル同士が同じ3列目に並んで決勝レースに臨むこととなった。
© Honda Motor Co., Ltd、アレックス・パロウ
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決勝レースは晴れ間の差す空の下、気温23度、路面温度26度の好コンディションで、27日(日)午後14時に43周の戦いの火蓋が切って落とされた。ミディアムタイヤを装着したアレックス・パロウが先頭をキープ。6番手スタートのニック・キャシディはソフトタイヤでのスタートを選択し、3周目のシケインで山本尚貴をオーバーテイク。3位へと浮上した。
規定の7周目を終えたところで、ミディアム陣営が一斉にピットへ向かいソフトタイヤへ交換。アレックス・パロウは8周を終えて予定どおりピットイン。代わって先頭に立った野尻智紀は、同じくソフトタイヤのままステイアウトしたニック・キャシディを従えて周回を重ねた。
野尻智紀は33周を走ってピットイン。ミディアムタイヤに交換して、事実上のトップを守ったままレースに復帰。そのままニック・キャシディの追撃を振り切って、トップチェッカーを受けた。野尻智紀にとっては、2014年第6戦以来2回目の優勝。2位はニック・キャシディ、3位にはスーパーフォーミュラで自身初の表彰台となる福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入賞した。
© Honda Motor Co., Ltd、山本尚貴
山本尚貴はミディアムからソフトへと交換する戦略が裏目に出て5位でフィニッシュ。この結果、ポイントランキングでニック・キャシディに逆転を許し、ランキング2位でシーズンを終えたものの、所属するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGはチームチャンピオンに輝いた。また、ポールながらも予定外のタイヤ交換ピットインを強いられ19位に終わったアレックス・パロウは、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
「何と言って良いか、言葉が出ない」とニック・キャシディ。「ピットに戻るまで涙が止まらなかった。タフなシーズンだった。僕らは常に最速ではなかったけど、素晴らしいチームと共にレースで強さを見せ、それが結果に繋がった。僕にとっては、これで日本で3つ目のタイトルを獲得したわけだけど、その全てがトムスチームと共に得たものだ。彼らは家族のような存在だ。ずっと応援してくれたファンにも感謝している」
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2019年スーパーフォーミュラ 第7戦 決勝結果
順位 | ドライバー | 周回 | タイム | 予選 | エンジン |
1 | 野尻 智紀 TEAM MUGEN |
43 | 1:14’24.627 | 2 | HONDA |
2 | ニック・キャシディ VANTELIN TEAM TOM’S |
43 | 2.532 | 6 | TOYOTA |
3 | 福住 仁嶺 DOCOMO TEAM DANDELION RACING |
43 | 3.883 | 4 | HONDA |
4 | 関口 雄飛 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL |
43 | 6.254 | 15 | TOYOTA |
5 | 山本 尚貴 DOCOMO TEAM DANDELION RACING |
43 | 18.744 | 5 | HONDA |
6 | 石浦 宏明 JMS P. MU/CERUMO・INGING |
43 | 22.129 | 20 | TOYOTA |
7 | 塚越 広大 REAL RACING |
43 | 31.628 | 7 | HONDA |
8 | 平川 亮 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL |
43 | 32.101 | 12 | TOYOTA |
9 | 山下 健太 KONDO RACING |
43 | 32.830 | 11 | TOYOTA |
10 | 坪井 翔 JMS P. MU/CERUMO・INGING |
43 | 45.204 | 13 | TOYOTA |
11 | ルーカス・アウアー B-Max Racing with motopark |
43 | 45.357 | 3 | HONDA |
12 | 小林 可夢偉 carrozzeria Team KCMG |
43 | 45.584 | 16 | TOYOTA |
13 | 牧野 任祐 TCS NAKAJIMA RACING |
43 | 49.398 | 8 | HONDA |
14 | 中嶋 一貴 VANTELIN TEAM TOM’S |
43 | 50.091 | 10 | TOYOTA |
15 | 国本 雄資 KONDO RACING |
43 | 54.61 | 14 | TOYOTA |
16 | 中山 雄一 UOMO SUNOCO TEAM LEMANS |
43 | 57.247 | 18 | TOYOTA |
17 | 大嶋 和也 UOMO SUNOCO TEAM LEMANS |
43 | 1:03.055 | 17 | TOYOTA |
18 | ユーリ・ビップス TEAM MUGEN |
43 | 1:09.868 | 19 | HONDA |
19 | アレックス・パロウ TCS NAKAJIMA RACING |
43 | 1:11.817 | 1 | HONDA |
20 | ハリソン・ニューウェイ B-Max Racing with motopark |
42 | 1 Lap | 9 | HONDA |
ドライバーズポイント シーズン最終結果
順位 | ドライバー | エンジン | ポイント |
1 | ニック・キャシディ | TOYOTA | 36 |
2 | 山本 尚貴 | HONDA | 33 |
3 | アレックス・パロウ | HONDA | 26 |
5 | 山下 健太 | TOYOTA | 21 |
6 | 小林 可夢偉 | TOYOTA | 19 |
8 | 関口 雄飛 | TOYOTA | 16 |
10 | 平川 亮 | TOYOTA | 12 |
11 | 中嶋 一貴 | TOYOTA | 12 |
12 | 坪井 翔 | TOYOTA | 12 |
13 | 石浦 宏明 | TOYOTA | 10 |
14 | 大嶋 和也 | TOYOTA | 7 |
17 | 国本 雄資 | TOYOTA | 5 |