アストンマーティン・レッドブル・レーシング

レーシングポイントF1がアストンマーチンに?富豪ストロールが買収を検討との報道

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カナダ人大富豪のローレンス・ストロールが、英国アストンマーチンの株式の過半数を取得すべく、水面下で準備を進めているようだ。Racefansは買収が成功した場合、レーシングポイントF1チームが名称を変更し、アストンマーチンブランドがF1にカムバックする可能性があると考えている。

ランス・ストロールの父ローレンスは、ピエール・カルダンやラルフローレンなどへの投資によって財を成し、一説によると総資産2400億円を持つと言われるほどの大富豪。息子のF1デビューに際して総額91億円の資金を投じ、その後は投資家コンソーシアムを率いてフォース・インディアを買収した。入札額は非公開ながらも、その金額は120億円から150億円程度とみられており、英国のファクトリーを拡張すべく現在も多額の投資を続けている。

アストンマーティンは昨年10月にロンドン市場に上場するも、初日取引は新規株式公開価格を下回り、18.10ポンドで終了。その後も下落を続け現在では5ポンド前後を推移している。株価が同社の将来性を反映したものでないとすれば、まさに買い時だが、格付け会社ムーディーズは今年8月に、同社を投資不適格(ジャンク)へと格下げしている。

同社は現在、初のSUV「DBX」の販売に向けてプロモーションを加速させている。「DB11」や「ヴァンテージ」と同じく、542馬力を発揮する4リッターV8ツインターボを搭載し、基本価格は18万9,000ドル、日本国内では2299万5000円~と非常に高額。来春に発売が予定されているため、DBXの売上によって同社全体の価値が向上すると踏むならば、今が買収のタイミングだ。アストンマーチン株の約3分の1は現在、イタリアのプライベート・エクイティ・グループ、Investindustrial傘下のStrategic European Investment Groupが保有している。

Racefansが報じたところによると、株の買収に成功して議決権を得た場合、ストロールはレーシングポイントをアストンマーチンへ改称する事を検討しているという。なおストロール側はRacefansからの質問に対して、コメントを拒否しているという。

アストンマーチンと言えばレッドブルだ。アストンマーチンは現在、レッドブルのタイトルスポンサーを務めており、共にミルトンキーンズに拠点を構えている。さらに両者は、共同開発した「ヴァルキリー」を投じて、ハイパーカー規定が導入される2020/2021年シーズンのWEC世界耐久選手権への参戦を予定している。

レッドブルは少なくとも2021年末まで、ホンダ製F1パワーユニットの供給を受ける事が正式に決定している。アストンマーチンには、MGU-KとMGU-Hを組み合わせた複雑高価なパワーユニットを開発・製造する資産はないため、短期的には、レッドブルとホンダの関係に大きな影響が及ぶ事はないと思われる。

アストンマーチンは、1959年と60年にDBR4とDBR5を投じてF1世界選手権に参戦するも、ノーポイントに終わり僅か2年で撤退している。