F1スペインGP:世界記録を誇るレッドブル・ホンダ、優勝争いの最中にピットストップに4.25秒も…一体何が?
ピットストップの世界最速記録を保持するレッドブル・ホンダは、5月9日に開催されたF1スペインGP決勝レースでの優勝争いの最中にタイヤ交換に4.25秒を要するという珍しいミスを犯した。一体何が起きていたのだろうか?
問題は、ラップをリードするマックス・フェルスタッペンにとって、この唯一のピットストップとなった24周目に発生した。ソフトからミディアムへの履き替えに際し、左リアタイヤが用意されておらず、最速の称号を持つクルーはRB16Bをコースに送り出すまでに4.25秒を要した。
失礼ながら、これがマクラーレンやハースであれば特に驚きはないものの、英国ミルトンキーンズの精鋭たちは2019年のF1ブラジルGPで1.82秒という驚異的な記録を打ち立てるなど、グリッド随一の腕を持つ。
実際、2021年シーズンに記録された上位3回の最速記録はどれもレッドブル・ホンダが記録したもので、いずれも2秒以下というタイムを誇る。あの時ガレージでは一体何が起きていたのだろうか?
チーム代表のクリスチャン・ホーナーはコミュニケーションに問題があったと説明。当のフェルスタッペンも「ただの誤解だよ」と認めた。
「不運なことに、情報伝達が上手くいかず予定よりも1周早くマックスがピットインしてきたためピットストップでタイムを失ってしまった」とクリスチャン・ホーナー。
「だがそれでも、ピットウォール、GP(ジャンピエロ・ランビアース)、レースエンジニア、そしてピットクルーが迅速な判断を下して機転よく対応してくれた事で、ロスタイムを最小限に抑える事ができた」
「急な事態であったにも関わらず見事なリカバーだった。本当に良く切り抜けてくれた」
ピットストップと言えば、これだけ大きなタイムロスがあったにも関わらず、背後1秒に接近していたルイス・ハミルトンがオーバーカットに動かなかったのは意外だった。
実際、クリスチャン・ホーナーも同じ感想を抱いたようで「スローストップになってしまったため、次のラップですぐに動いてくると思っていた。結果としてはそうはならず、我々はトラックポジションを維持する事になったが、結局のところ今日は彼らのマシンの方が速かった」と付け加えた。
「我々はトラックポジションをキープしたものの、ルイスとメルセデスは我々よりも速く、タイヤを痛める事なくマックスの背後に付けていた」
「後方との間が大きく広がってしまった事でルイスがフリーストップを得る事となり、我々はレースリーダーとして、トラックポジションを最後まで守り抜かねばならないという恐ろしい立場に立たされてしまった」
「ルイスに追い抜かれた後、マックスにできる事はファステストラップを狙う事だけだった」
リザルトとしては為す術なく完敗した格好だが、クリスチャン・ホーナーはオープニングラップでのフェルスタッペンの見事なオーバーテイクを高く評価した。
「マックスは素晴らしいスタートを切って全精力を注いでターン1へと向かい、トップに立つチャンスを掴み取った。まさに”マックス・フェルスタッペン流”といった具合だった」
「クルマの位置取りは途方も無いほど素晴らしく、ブレーキングを遅らせる事で大外刈りを決めてリードを奪った」
「他方、チェコ(セルジオ・ペレス)は昨日の予選8番手から5位まで巻き返してくれた。ターン1のアウトサイドでダニエルに対して果敢に仕掛けると、チームのためにしっかりとポイントを獲得してくれた」
「これからは次のモナコGPに集中し、ファクトリーでの作業を続けてパフォーマンスを向上させメルセデスに追いつきたいと思う」