
ハジャー、中団最上位も自身に激怒「マジで腹が立つ」チーム首脳は高評価も、”自責の連鎖”
マリーナベイ市街地コースでの初挑戦ながら中団トップに食い込んだアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)だが、本人は激しい怒りを露わにした。あと一歩で“更なる上位グリッド”というまさにそのタイミングで犯した痛恨のミスは、完璧主義者にとって決して容認できるものではなかった。
Q3最終ラップで悔恨のミス
2025年F1第18戦シンガポールGP予選。ハジャーは、Q3最終アタックラップで会心の走りを見せていた。ラップの序盤は完璧だった。だが、ターン8で突如マシンが不安定に。ダブルロックアップからスナップオーバーステアに見舞われ、コースを膨らんでしまう。
ラップを諦めざるを得なかったハジャーは、コックピットでステアリングホイールを何度も激しく叩いた。フラストレーションが爆発した瞬間だった。
「マシンを大事にしてくれ。君が苛立っているのは分かるけど」
担当レースエンジニアのピエール・ハムリンは、ピットに戻るハジャーに対し、なだめるように語りかけた。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
火花を散らしながら走行するアイザック・ハジャーのレーシング・ブルズVCARB 02、2025年10月4日(土) F1シンガポールGP予選(マリーナベイ市街地コース)
「理解できない」マシン挙動への困惑
無線でハジャーは困惑と怒りを隠さなかった。「ダブルロックアップして、コーナーでスナップするなんて、正直、理解できない。こんなのこれまで一度もなかったのに」
そして続ける。
「くそっ、あのラップは良かったんだ。というか、ラップの序盤は完璧だったのに。マジで腹が立つ」
最終結果は8番手。初挑戦のマリーナベイで中団最上位という結果は、客観的には上々だ。
チームメイトのリアム・ローソンが14番手に沈んだことを考えれば、むしろ見事な結果とも言える。
だが、ハジャー本人にとっては受け入れがたい結果だった。ターン8でのミスがなければ、6番手も十分に狙えたと感じていたからだ。
チーム首脳は高評価も、本人は納得せず
レーシング・ブルズの最高技術責任者ティム・ゴスは、ハジャーのパフォーマンスを称賛した。「コンストラクターズ選手権での主要なライバルたちすべての前、8番手に食い込んだ。これで今週末の我々の最初のミッションは達成された」
さらにこう続ける。
「もし完璧なラップをまとめられていれば、前のフェラーリ勢を上回ることもできたと思う。こうした野心を抱けるのは、マシンとドライバーが確実に進歩している証拠だ。明日のレースに向け、確かな自信になる」
6番手ルイス・ハミルトン、7番手シャルル・ルクレール——ハジャーはこの2台を完全に射程圏内に捉えていた。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ガレージを後にしファストレーンに向かうアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年10月4日(土) F1シンガポールGP予選(マリーナベイ市街地コース)
「新品タイヤ2セット温存」の意味
予選後、ハジャーは自身がより強く落胆している理由を明かした。
「本当に残念だ。今回の予選は初めて、トップチームと同じようにQ3まで新品のセットを2つ残せたんだ。でも最後のラップを活かせなかった。本当に腹が立つ」
通常、中団チームはQ1、Q2を突破するために新品ソフトタイヤを多く消費せざるを得ない。だが今回、ハジャーはQ3のために新品ソフトタイヤを2セット温存することに成功。トップチームと同じ条件で最終決戦に臨んだ。
「かなりタイムを伸ばしていて、『今日は何か特別なことができる』と思ってたのに、結局は平凡な結果で終わった。ガッカリだよ」
その言葉からは、千載一遇のチャンスを逃した悔しさが滲み出ていた。
2戦連続の自責―完璧主義者の苦悩
ハジャーが自分の走りに激怒するのは、これで2戦連続だ。前戦アゼルバイジャンGPでも、Q3の最後のラップでミスを犯した直後、自分自身への怒りを爆発させていた。
高いポテンシャルを持ちながら、決定的な場面でのミスに苦しむハジャー。その完璧主義的な性格が、連戦での自責につながっている。
マリーナベイ市街地コースはオーバーテイクが難しく、予選でのミスを決勝で取り返すのは容易ではない。ハジャーは落胆を隠さなかった。
「もう1回、ラップをやり直せたらいいのに」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
予選後のパルクフェルメで並ぶランド・ノリス(マクラーレン)とアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年10月4日(土) F1シンガポールGP(マリーナベイ市街地コース)
2025年F1シンガポールGP予選では、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポールポジションを獲得。2番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3番手にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間10月5日(日)21時にフォーメーションラップが開始され、1周4940mのマリーナベイ市街地コースを62周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。