イモラ・サーキットで2027年用ピレリタイヤのテストを行うシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2026年9月15日(火)
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

1ストップ時代に終止符? ピレリが2027年F1タイヤで試す「デグを高める新構造」

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F1公式タイヤサプライヤーのピレリは2027年シーズンに向け、新たなタイヤ構造の開発を進めている。その目的は、デグラデーション、すなわち走行に伴う性能低下がより大きいタイヤの導入を通じて、1ストップレースを減らすことにある。

第11戦ハンガリーGPではランド・ノリス(マクラーレン)が3ストップ戦略で勝利を収めるなど、マルチストップが主流となるレースもあったが、今季は多くのレースで1ストップ戦略が目立っている。直近の第15戦アゼルバイジャンGPでもカルロス・サインツ(ウィリアムズ)を除く全車が1ストップでレースを走り切った。

各ドライバーの使用コンパウンドとピットストップを記したタイヤ戦略の一覧表、2026年9月26日(土) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

各ドライバーの使用コンパウンドとピットストップを記したタイヤ戦略の一覧表、2026年9月26日(土) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)

「構造変更」でデグラデーション増加へ

ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベッラによると、2027年シーズン向けに行われている現在のタイヤ開発テストでは、デグラデーションを増やすことに重点が置かれている。ただし、コンパウンドそのものを変更するわけではない。

イギリスのモータースポーツ専門メディア『The Race』によると、ベッラは「デグラデーションを高めるために構造に手を加えた。フロントのデグラデーションを増やす様々な方法および、リア側のデグラデーションを更に高める案を試した」と説明した。

「特にシーズン前半、そしてその他のレースでも、性能の低下がかなり小さいことが分かったからだ」

具体的な手法は明かさなかったが、「より多くの発熱を促し、熱による性能低下を大きくするために、構造そのものに取り組んだ」と述べた。

なぜ2026年は1ストップ偏向なのか?

2026年シーズンのF1が1ストップ戦略に偏っているのには、現行タイヤの開発当時にあった制約も関係している。

ピレリが2026年用タイヤの設計・開発を進めていた昨年の段階では、当然ながら2026年の新たなレギュレーションに基づくマシンは存在しておらず、ダウンフォース量やタイヤにかかる荷重については、各チームの予測値に頼るほかなかった。

ただ、その予測値は各チームによって大きなばらつきがあった。昨年8月の段階では、ダウンフォースの予測値には最大30%の開きがあったとされる。これはラップタイムに換算すると約4秒に相当するもので、ピレリは2026年に向けて、その幅広い想定に対応できる保守的なタイヤを用意しなければならなかった。

開発テストでは、各チームが提供するミュールカーが使用された。2026年型想定の空力仕様を備えてはいたものの、パワーユニット(PU)に関してはそうはいかず、特有の挙動まで再現できる状況ではなかった。

一方、2027年向けの開発テストでは、2026年の実車とPUが使用されている。ベッラは「今年はミュールカーではなく、今年実際に使われているマシンで作業できた。そのため、状況をより明確に把握できるようになった」と語った。

直近では、マドリンクで行われた第14戦スペインGP後にイモラ・サーキットでテストが行われ、フェラーリとレーシング・ブルズの2チームが参加し、計400周の走行データを収集した。

次回は、サーキットの散水設備を使ったウエットタイヤの開発テストが予定されており、10月中旬にフランスのマニクールで行われる見通しだ。